第442話「教え子ちゃん」
「分かりました。ありがとうございます」
「では、ご覧あれ」
カリナは教壇横に置いてあった大きな箱を開ける。
「恐らく皆ご存じの練習用の人形よ」
まず取りだされたのは回復魔術の練習人形だ。
見た感じ既に傷がついている。
「それとこっちは取り扱いに注意してちょうだい」
カリナは持ってきた鞄から一回り小さい鞄を取りだした。
解錠し開け、中から小さいナイフを取りだした。
「これは手術用の小型ナイフよ。触れただけでスパっと切れるから刃先を上には向けないこと」
そして実技が始まった。
生徒の半分以上が詠唱のみで発動できているようであった。
無詠唱なのはサラティスとフィーナだけのようだ。
「魔術教養の初めの時と同じね」
「そうですね。でもそれはフィーナが頑張ったから楽になってるだけなので悪いことじゃないですよ」
「さすがね。むしろこっちが本命だったって訳ね?」
暇にしてる二人にカリナが近寄ってきた。
「本命ですか?」
「ええ。二人は去年学祭で研究発表してたじゃない。フィーナちゃんはともかくサラティスちゃんは一般魔術の方に行くと思ってたわ」
「サラは回復魔術の方が得意なんですよ」
「なるほどね。ということは二人は学園に入る前に誰かに教わったってことね。差支えなければ誰か教えてくれたりしないかしら?」
「シェリー……ザバラット家の魔術協会南支部副局長を務めておられる方です」
「あら、シェリーちゃんなのね。ふふ、確かに面倒見が良い子だったから確かに向いてるかもね」
「あら、カリナ先生はシェリーさんをご存じなの?」
「世間は狭いですねー」
二人は少し驚く。
「ええ。私の大切な教え子ちゃんたちの一人よ。教えてくれてありがとう。代わりにだけど、私の好きな男のタイプはきまじめで融通のきかない男よ」
「へ?」
フィーナは意味が不明な情報に停止した。
聞き間違いではないかと。
「あら、ならチュース先生なんてぴったりじゃないですか」
「ふふプライベートは秘密よ。サラティスちゃんのとびっきりの秘密を教えてくれるなら、考えてもいいけど」
「し、失礼しました。秘密なんてないです」
「あら可愛い」
「か、カリナ先生」
慌てた様子で生徒が駆け寄ってきた。
「あらレマイラちゃんどうしたのかしら」
さすがにサラティスも同じ白クラスのレマイラのことは知っている。
王都に住んでおり、父が王宮務めのお偉いさんであるらしい。
「見てください人形を」
人形をカリナに見せつける。
「あ、サラ見て色がおかしいわよ」
「みたいですね」
「そうなの。先生、普通に回復魔術を使用したらこんな色に」
「ずいぶん黒ずんでるわね。蕾ちゃん達注目」
カリナは手を叩く。




