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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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第429話「密室、来訪者と料理人……」

「我慢した甲斐があった。周りに自慢できるほど美味かった」

「お褒めに預かり光栄です。私にとっても自慢できる我が家の料理人達です」

「そうか。因みにその後ろのでけぇのが料理長か?」

「はい。彼はリステッド家の料理長を務めておりますダヴァンです」

「そっちのちっこいのは何だ?まだガキだろ?」


 ダヴァンの隣にはヤーミーがちょこんと立っていた。

 サラティス用のお立ち台は今やヤーミーが使っている。


「彼女は料理人見習いのヤーミーです。孤児なのですが、王都でサラティスが保護した縁があって家で預かる形になっています。将来的にはサラティスの料理人になってもらおうかと」

「おい、オレはルリレッタだ」

「るりれったさま。ヤーミーです」

「ほら、ここで手はこうやんだぜ」


 ぎこちない挨拶。ダヴァンがフォローする。


「ダヴァンつったな。料理はお前が考えたのか?」

「……」


 ダヴァンは視線をセクドに送る。


「ダヴァン、大丈夫。ルリ様にはお話しても問題ないわ」

「……そうだね、ダヴァン料理長、許可するよ。ルリレッタ様、一応このことは他言無用でお願いします」


 ルリレッタは頷く。


「オレは恩を仇で返す趣味は持ってねぇ」

「ルリレッタ様、料理を完成形に持っていったのは私です」

「ほぅ」

「しかし、発案や方向性を考えたのはリステッド家のご息女であられる、サラティス様です」

「だろうな」

「ご存じでらっしゃいましたか」

「ああ。あいつは悪食だからな。……舌が悪い、好みがずれてるって話しじゃねぇぞ。何にでも興味を抱くからな。とりあえず食ってみようでひょういひょい行くからな」


 この場にいる全員が気持ちがいいほどの統一感で頷く。


「あれによく付き合って形にしたもんだ」

「もう慣れたので」

「は、そうかよ。悪い、邪魔した。いいか、ヤーミー。お前は将来サラに仕えるだろう。基本的に主人の命令を従うべきだが、本当に嫌なことなら断っていいんだからな。まぁ、あいつは強制なんてしねぇだろうがな」

「ルリレッタ様、ありがとうございます」


 セクドは感謝を述べる。

 使用人を褒めるだけでなく、心配までしてもらった。

 ルリレッタはリステッド家に宿泊することになった。

 翌朝、ルリレッタは屋敷の庭にいた。

 セクド達の日課を眺めていた。

 邪魔することなく、ただただセクドの動きを眼で追う。


「お待たせしました」


 朝の訓練を終え、セクドは剣を持ち出してルリレッタに近づく。


「いいさ、見せろって言ったのはオレだからな。領主様は毎朝これを?」

「はい。緊急で仕事が入ったり、出先でなければ基本はそうですね」

「ほーん。ガキが家にいる時はガキも混ざってんのか?」

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