第430話「密室、領主と鍛冶師……」
「はい。ジェリドは剣の訓練を欠かさず行ってますね。サラティスは彼女の気が向いたときに剣術でなく、護身術を訓練してます」
「なるほどな。納得だな、学生同士の試合が児戯になるわけだ」
学生で騎士になることを目標としている生徒くらいなのだ、心身、剣技を鍛えているのは。
他の家がどこまで鍛えているかは知らないが、これ以上であることはそうないだろう。
むしろ、これほど鍛えているのに芽が出ないのなら才能が限りなく乏しいという証左になってしまう。
「というかサラに護身術はいらないだろ。魔術の発想以上に回復魔術が得意なのは知っている。攻撃魔術使えば集団で襲われても何とかなるだろ」
「……確かにそうですね。サラティスは私達の知らないところですくすく育っているので、どれだけできるかは掴みかねてます」
「……」
興味津々に見つめる。
「ですが、何かしらあって魔力がほぼなく魔術が仕えない状況だったら?室内や近距離で突然襲われたら?アレシアの友人が魔術協会で副局長をやっていて、過去家庭教師をしてもらったことがあり友人ではなく、専門家かとしての評価を貰いました」
「ほー、家庭教師ね」
「サラティスは魔術の発動速度が異常に速いそうです」
「だろうな」
至極当然のことであろう。
騒乱の世と安寧の世では同じ魔術師でも求められる、評価される技能や分類が異なる。
食事をして排泄するように、仲間を助け、敵を殺していればいやおうなし発動速度は速くなっていく。
現代の魔術師と比べれば異常に速いとされるだろう。
「本来はありえないことです。ですがサラティスであれば他の魔術師とは異なり、近接戦闘でも魔術を使いながら戦えるでしょう。ですが仮に相手が熟練者だった場合は別です。現に私なら発動前に接近、攻撃ができます」
「つまり、お前が敵対すると厄介になるってことだな」
「そんなことはありえないですね。私と同格の誰かであれば……。その時のために生き残れるようにと教えてます」
「そうかよ。さて、剣抜いて見せろ」
「はい」
セクドは剣を抜く。
「構えろ」
ルリレッタの合図で剣を構える。
「なるほどな。暫く動くなよ」
ルリレッタはセクドから視線をずらさないように、セクドの体の周りを歩く。
「ほっとしたぜ」
「?」
「お前はきちんと使ってるようだからな」
「ルリレッタ様に貰った剣を日常使いするのは少し躊躇いもありましたが、剣は使ってこそですしね。それに普段から使い慣れておかないといざという時に困りますから」
「ああ、それでいい」
ルリレッタは笑う。
「使い勝手はどうだ?」
「……」
セクドは一瞬言葉に詰まる。




