第426話「密室、領主と来訪者……」
サラティスが逆塔を満喫してた頃、リステッドの屋敷は騒ぎの声に彩られていた。
「せ、セクド様」
セクドはアイスティアで魔獣案件を片づけ、屋敷に戻ってきた所に屋敷を警護している騎士が慌ててセクドの元へ駆けつけた。
「どうしたんだい?」
「セクド様に来客です」
「来客?」
来客の予定はない。
「はい、森から訪れた魔族の方です」
「あー、なるほどね」
魔族が相手ならば人間の都合も法律も通用しない。
「英雄ルリレッタ様の名を名乗ってます」
「な、なんだって。彼女は屋敷かい?」
「いいえ。身分を証明する物をお持ちでなかったので規則通り駐留所に案内して、待機して貰っています」
「分かった直ぐ向かう。アレシアに至急賓客が来た、相手はルリレッタ様であることを伝えてくれるかい?」
「は、畏まりました」
セクドは屋敷に入らず、駐留所へと向かった。
駐留所に辿り着くと、入口でセクドを認識した途端、騎士達が慌てて駆け寄ってくる。
セクド指示を出し、中に入り、待機している部屋のドアを開ける。
「……ルリレッタ様」
「お、ようやく来やがったか」
扉の先には、泰然自若に座っている彼女の姿を視認できた。
「……彼女は間違いなくルリレッタ様だ」
「は」
これは仕方のないことだろう。
セクドは王宮などでルリレッタを直接見たことがある。
ルリレッタは滅多に人前に出ないので、そういった場以外見かけることはほぼないので、リステッドの騎士達が顔を知らないのは仕方のないことである。
「一応規則なので説明させて頂きます」
「うん」
「森側から、ラーダス族の女性が巡回と接触。ルリレッタと名乗り、セクド様との面会を希望。身分を証明出来るものを持っていなかったため駐留所に案内。セクド様により本人様であると確認ができたため、警戒を解除致します」
「ありがとう。因みにルリレッタ様はどうやってリステッドに?」
「行きか?船だ」
「なるほど……」
魔族であるルリレッタはリベール大森林を自由に行き来することができる。
森から来たということは、普段王都にいるはずなので、バインド領とリステッドの関所を通ってきたのなら確実に報告が出る。
出ないということは、別の方法を取ったということだ。
陸地がだめなら残る手段は海上である。
人間は海上からも侵入することも禁止されている。
だがあくまで人間なので一部魔族が海上から行き来することは止められない。
どうやら推測通り、ルリレッタも船を使ったようだ。
「魔族専用だが船が出てんだよ」
「……」
「安心しろって。国を出る分には楽だが、あっちから国に入ってくる時は厳重だぜ?」
「うちも港は警戒してますが、魔族の方々はなかなか見たことないですね」
「あたりまえだろ。森に一番近いんだから、わざわざ船でくる理由がねぇからな」
騎士がノックし入ってきた。
騎士の報告を受け、セクドは立ち上がる。
「ルリレッタ様、獣牽車のご用意が出来ました」
「すまねぇな」
「いえ、とんでもありません」




