第424話「順番のせいで」
「それは実際分かってないのよ」
出掛けようとした直前、雨が降ってきたような顔をする。
ツヴァウスは少し悩んでいるようであった。
「ツヴァウスさん?」
「ああ、ごめんなさい。どう説明しようかと」
ツヴァウスの説明で納得ができた。
そもそも砕輝の牙の主要人物や人数は判明していない。
砕輝の牙全員がメンバーとして所属しているのではなく、別の犯罪集団が下部組織として活動しているそうだ。
そしてこの下部組織が厄介なのだ。
砕輝の牙の中でも中層程度のメンバーが取引を持ち掛けたり、勧誘したりする。
仕事をこなせば晴れて下部組織になる。
勧誘や取引は砕輝の牙メンバーだけでなく、この下部組織も勝手に勧誘や取引をする。
「繁殖力がすごいですね」
サラティスの感想に四人とも頷く。
さらに厄介なのは砕輝の牙とは一切関わりがないが、名前を拝借、悪用する者も少なからずいる。
捕まえて情報を聞き出しても組織の重要人物には届かない。
「だから、関係者は三桁人はいる。だから気をつけろよ」
「学生で学園にいるからって安心して調子にのらないことね」
「悪者、どこにでもいる。汚い」
「そうね。サラティスさん、魔術の腕があるし、可愛い。絶好の獲物なのだから気を付けてね」
「もし砕輝の牙について何か知ることがあったら報せてくれよ。提供料なら出す」
「分かりました」
犯罪集団なので深く聞くことはしない。
だが雰囲気的にきっと彼女達は砕輝の牙を追っているのだろう。
寂しいが大反対されたので貴族専用棟で夢の世界を冒険した。
貴族と就寝を共になんて恐れ多いと全力で首を横に降られた。
翌朝、サラティスは三階に足を運んだ。
マウを釣った湖の反対側に向かった。
こちら側も同じく、木々の中に湖が存在している。
だが、マウを釣った湖より一回り小さい。
『ポチャン』
サラティスは無造作に湖に手を突っ込む。
「こちらの方が少し温かいですかね」
サラティスは朝食を獲る。
「あら、マウモドキですか」
獲れた魚はマウによく似たマウモドキという魚だ。
可哀想な話しである。
マウとマウモドキは非常に見た目がよく似ている。
マウモドキはマウより一回り大きい。
マウモドキを知らない人が見たら、大きいマウが釣れたと喜ぶであろう。
マウとマウモドキの決定的な違いは食べ物の違いである。
マウは草食だが、マウモドキは肉食である。
なのでマウの特徴的な匂いなどがしない。
きっとマウモドキが先に発見されてたのなら、モドキなどつけられることはなかったであろう。
サラティスはマウモドキの頭を切り落とす。
内臓などを削ぎ落し、身の部分だけを炙る。
毒などはないのだが、マウと違って肉食なので内臓系は食べない方が安全である。




