第421話「意外と怖いこともあるのです」
「それはサラティスさんの魔術の腕が、ワーテーより優れているってだけの話ではないの?」
「それそう。だけど、そうじゃないのよ」
「ごめんなさいね、サラティスさん。ワーテーはちょっと自分の言葉を分かり易く相手に伝えるのが少し苦手なの」
「大丈夫です、なんとなく分かりますから。ワーテーさんは仲間の為にもっと回復魔術の速度をあげたいってことですよね」
「な、べ、別に仲間の為じゃないわよ。あくまで私個人の技能を上げたいだけで」
「はっ」
「ワー照れてる」
「て、照れてないよ。ヨネ、ぶっとばすわよ」
「私も気付けばこうなっていただけなので、具体的な特訓などはしてないですよ」
「そう」
「でも、個人的に思うのは魔力の量の調整だと思うんですよね」
「量だ?」
ゴネシスは首を傾げる。そもそも、あまり興味がなさそうある。
反対にヨネはうんうんと頷いている。
「ゴネは雑だから、魔術が安定しない」
「魔術を習いたての頃はいかに安定して、魔力を同じ量で扱えるかを鍛えると思います。慣れてきたら次は魔力の量を増やして使う」
「それは理解しているわ。魔術の種類によるけど大半の魔術は魔力を多くすれば威力が上がる。回復魔術もそう。当然消費する魔力の量が多くなる」
「あー私は魔力が少し多いみたいなですが、ワーテーさんは量の調整ってされてます?」
「調整?」
「はい。先程の火傷は場所によって皮膚の状態が違うじゃないですか」
「ええ」
「酷い所だけ魔力を強くして、軽い所は魔力の量を減らす……」
「待って」
腰に下げた鞄をガサゴソと漁り、紙とペンを取りだす。
「つまり、同じ回復魔術を二つ同時に使うってこと?」
「はい」
「ありえないわ。いえ、やってるのだからありえるんだけど……」
「ヨネさんは火球と水球の魔術同時に使えます?」
「うむ、たくさんはできないけど、数個ならできる」
「それは回復魔術も一緒じゃない。医者なら出血を止めるのと皮膚治療とか一緒に使ってる訳じゃない」
「?」
ヨネも首を傾げる。
「あんた、水球の魔術式を二個書いて、同時に使う?」
「……うむ。ない。一つの魔術式で二個出す。お得」
「でもそれで速度があがるなら……」
紙とペンが交わる音が響く。
「あ、でもその分魔力消費に注意しないといけないのと、やりすぎはだめですね」
「それは発動個数ってこと?」
「はい。回復魔術を過剰にやりすぎるとどうなるかご存じですか?」
二人は首を横に降る。
ほぼ動じ、同じ動きである。良いチームだ。
「これは患者さんと、部位、症状で多少変わるのですが……」




