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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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420/464

第420話「分かってますよ」

「お?お、おお!」


 ゴネシスは腕を触ったり、振り回したりする。


「今の回復魔術!」

「わ」


 驚きの速度でワーテーが眼前に迫った。


「ゴネシス、治ったの?」

「ああ。痛みもまったくない」

「どうして?」

「えっと……ワーテーさんが大方治してくださったからですよ」

「そんな訳ない。無詠唱。あの状態でも私だったら十分以上かかかる。一瞬。……あなた凄腕の魔術師だったりするわけ?」

「そ、そんなことないです」

「ゴネ手も足も出なかった。魔術すごい」

「うるせー。疲れてなかったら失敗してなかったからな」

「はいはい。とりあえず、中に入りましょうね。ごめんなさいね、もう少しだけ付き合ってくれるかしら?」

「はい」 


 ツヴァウスがサラティスにくっついているワーテーを引きはがす。

 サラティスははこくんと頷き後に続く。

 改めて室内に戻る。

 食事フロアで話をすることになった。

 部屋には食事するために置かれているであろう、長い机。

 向かい合わせで三脚ずつ、合計六脚の椅子がある。

 サラティスは三脚ある椅子の真ん中に腰かける。

 サラティスから見て、向かいの真ん中にゴネシス、右にワーテー、左にヨネが座った。

 サラティスの左隣にツヴァウスが座る。


「まずは諸々ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」


 ツヴァウスが頭を下げる。

 それに合わせてワーテーも頭を下げる。


「特定の誰かじゃないのだけれど、ゴネシスは貴族様に良い印象を持ってないのよ。そんな中、ゴネシスの勘違いだけど、声を掛けられたからあんなこと言い出ししてしまったの」


 やに丁寧だが、サラティスもいい加減理解できるようになっていた。

 相手はサラティスのこと知らないのだ。

 サラティス自身は怒っておらず、そのことは理解してもらえてるだろう。

 もし第三者が一時の思い出を知ったなら。

 ここで形なりと謝っておいた事実さえあるのなら、後ろ指を刺される事態を回避できるだろう。

 そしてその形式ばった大袈裟な行為を受け入れることが、貴族として大切であることが理解できている。

 なのでサラティスは黙って聞いている。


「ご丁寧にありがとうございました」


 謝罪が終わり、サラティスの承知を持って打ち切りとなる。


「私はワーテー。改めて、あなたのアレは何にかしら?」

「ただの回復魔術ですよ?」

「ワーテー、一応確認だけど、どうして詰め寄るくらいのものであったのかしら?」

「当たり前でしょ。確かに私は回復魔術が得意な訳じゃない。けど、火傷はそこまで難しい種類でもない。だから、私が殊更遅い訳じゃないのよ。それを、まばたきしたら治ってる程の速度よ?そこいらの医者より早いわよ」

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