第419話「なんだか」
「やるじゃないか。だが所詮は初級だ、『はぜろ』」
しばらくして、先程より少し大きい火球が、二倍くらいの速度で風の渦を貫く。
「その程度は消せます!」
サラティスは力強く言い切る。
火球が風のエスコートを受ける直前、風の勢いが強くなった。
渦の回転速度も早くなり、ひゅー、すーといった風の音がはっきりと肌を鼓膜を震わせる。
そして、火は同じくバラバラに散っていった。
「くそ。最大火力だ、『もえやがれ!』」
「ゴネ、まずい」
ヨネが慌てた様子でゴネシスを止めようとする。
「だ、大丈夫だ」
ゴネシスは静止を振り切る。
しばらくしてサラティス程の大きさの火球が現れた。
「これが全力だー」
顔から汗が伝う。
大きい火球はよろろと渦に進路を定める。
「なっ、だっ」
「ゴネのばか。『濡らせ』」
穏やかな火球は渦と握手する前に球体を保つことができず、周囲に爆散した。
爆散した一部の火の破片が風に乗り、周囲を騒がす。
慌ててヨネが水魔術を使い自分達に降ってきた火の粉を鎮火する。
サラティスも慌てて魔術を解く。
サラティスに向かってきた火の粉は風魔術で消したので無傷である。
「ワーテー、火傷したみたい」
「はぁ……」
ワーテーはゴネシスに駆け寄る。
「悪い、ミスった」
「私は回復専門じゃないってのに。痕が残っても知らないわよ」
「治りゃいいさ」
「はぁ。『治れ』」
ゴネシスは左腕を火傷していた。
火傷は縦上に細長く、長さでいうと十セル程はありそうである。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
「あたしこそ悪かった」
「サラティスさんごめんなさいね。この怪我に関しては完全にゴネシスの自業自得だから謝る必要はないわ」
「ああ、これはあたしのへまだからな。お前を恨んだりはしないさ」
「そうですか」
「ゴネシス、もういいでしょ?」
「ああ。あたしが間違ってた」
治療の最中なので首だけでゴネシスは謝罪した。
「確かにお前は一人で狩れるだけの実力がありそうだ」
誤解が解けて嬉しいが、すっきりはしない。
三十分程経過し、治療が終わった。
「……限界」
ワーテーの魔力の限界により治療が中断された。
「あーって」
ゴネシスの腕は遠目から見れば、なんともなさそうであるが近くでよく見ると皮膚の様子が少しおかしい。
実際ゴネシスが自分の腕を触ると痛みがあるようで、顔を顰めた。
「……ちょっといいですか?」
「ん?」
「腕見せてもらっても?」
「ああ、見るほどのもんじゃないけどな」
「これなら……」
サラティスの指先が淡く光る。




