第418話「分かり易い」
「一体どうして外に?」
「お前は見た感じ学園の一、二年くらいってとこだろ?」
「はい、まだ一学年でもじき二学年になりますね」
「イルンシロンは強い魔獣じゃないが、子供が一人で狩るのはなかなか難しいだろ。狩れるってことはそれだけの実力があるってことだ」
「あー」
ギルドはどうやら変わらないのかもしれない。
ギルドの人間は身分や肩書より個人の力を重要視する者ばかりであった。
ギルドメンバー同士が対立したら、勝った方に従う。
つまり、彼女ももれなく力を示せということなのだろう。
「で、その子供が武器も持たずにってことは恐らく魔術が得意なんだろ?」
「……」
「あたしは見ての通り剣使いだ」
腰に下げた剣を見せつける。
身近にいる人の剣と見比べると、どうしても格が低く見えてしまう剣だ。
だが手になじんでいるようにも見え、良き相棒に間違いない。
見た目だけで判断するなら、ツヴァウスが槍使い。
この二人が前衛でワーテーとヨネが魔術師か、後衛か支援に見える。
「安心しな。ガキ相手にこれは使わないさ。あたしは剣使いだが、最低限の魔術なら使えんだ。だからあたしと魔術で一戦やろうじゃないか。イルンシロンを狩れる実力があるって分かったら謝る」
「分かりました。それで誤解がとけるならお願いします」
「ワーテー、いつでも回復魔術が使えるように待機、ヨネは周囲に被害が出ないように警戒」
ツヴァウスの指示に二人が頷く。
「初手は譲ってやる。それにあたしが使うのは初級だけだ」
「……初級だけしか使えないの間違い」
お互いに距離を取る。
「うっせーぞヨネ。ほれ、いつでもきな」
「分かりました」
サラティスは頭を包み込ませる程の大きさの水球を一つ、ゴネシス目掛けて飛ばす。
「は、髪を洗うのに丁度いいじゃないか。『はぜろ』」
水球はまっすぐにゴネシス目掛ける。
ゴネシスは水球より一回り大きい火球を使い、水球にぶつける。
『ジュ』
熱風が髪を揺らし、水蒸気が肌を撫でる。
「よそ見してっと怪我するぜ『はぜろ』」
先程より大きい火球がサラティス目掛けて飛んでくる。
「今回は距離を保ちますか」
あの火球の速度であるなら、サラティスに到達する前にゴネシスの懐に迫ることができるだろう。
だが、ここ最近魔術の手合わせ距離を詰めてばかりだなと思い、この距離を維持して打ち合いをすることにした。
「ご忠告ありがとうございます」
空気が変わる。
それは雰囲気の話ではなく、物理的な物だ。
「なんだ」
ゴネシスは一歩後ろに下がった。
放った火球が突如乱れ、火の粉となりて周囲を照らし混ざり消えた。
ゴネシスの眼前に突如風の渦が現れた。
風の渦が火球を飲み込み、火球は風の勢いで形を保っていられず体をあるがままに委ねた。
火を掻き消した後の風の渦は周囲の土煙を巻き込むので、視認ができる状態であった。
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