第417話「明痕ノ常」
「私はサラティスです」
「あたしらは『明痕ノ常』のゴネシスだ」
「私はツヴァウスよ」
「……」
「ったく。こっちで黙りこくってるのがワーテー。で、こっちがヨネだ」
色々気になる。
「ご、ごめんなさい。恐らくギルドの方ですよね?私はそちらの方面が疎くて……」
セクドのように綽名があるということは恐らく有名なメンバーなのだろう。
「ふふ、大丈夫。私達は有名じゃないもの」
「おい。ツヴァ」
「確かに。ゴネはさもご存じのように言うがヨネは恥ずかしい」
「べ、別にいいだろうが。嘘は言ってねーし、これから有名になる」
「……?」
サラティスは首を傾げる。
「ごめんなさいね、そうね。ギルドはね、所属してギルドが発令する依頼を達成すると報酬が貰えるの。個人で活動するのもいいんだけど、ギルドメンバー同士でチームを組んで、それをギルドにチーム登録申請ができるのよ」
「な、なるほど。明痕ノ常というのはチーム名でしたか」
「そうだ。あたしらはまだ結成して一年だがこの名を轟かす予定だからな」
「所でサラティスさんは私達に何か用かしら?」
「あ、はい。実はイルンシロンのお肉が余ってしまって、よろしければ食べていただけませんか?」
「あ?」
和やかな空気が一変した。
正確にはチームのリーダ的存在であろうゴネシスの態度が変わった。
怒り、敵対。
そのような激しい炎を瞳は抱いているように見える。
「お嬢様が気まぐれの施しで自己満足か?」
「ちょ、ゴネシス」
「不快にしたらごめんなさい」
サラティスは頭を下げる。
怒りだした理由を理解できた。
「施しでもなんでもないです。ただおすそ分けです」
「どうせ手下に狩らせて、いい感じにしてもらった肉だろ?あたしらじゃなくて、手下にでもくれてやんな」
「サラティスさん、ごめんなさいね。悪気がある訳じゃないのよ。この子は素直なのが良い所で、悪い所でもあるの」
「ヨネも謝る。怒らないで欲しい」
「ゴネシスさん。私は一人で逆塔に来て、捕獲から解体まで一人でやりましたよ。ヨネさん安心してください。私は理不尽に攻撃でもされない限り、話し合いで解決できるならそうしいと思ってますので」
ネイシャ時代、善意に心を尖らせる相手を、裸の感情が飛び交う場面をいくつも見てきた。
サラティス自身は貰えるなら、お、得したくらいにしか思わないが、中にはプライドを傷つけられたと感じる人もいるようだ。
「……ほーん。なら、表出な」
そう残しゴネシスは室内から外に行ってしまった。
サラティスも後に続く。




