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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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第413話「サラティス流魚捕獲術」

 サラティスはガイナスから距離を取り、釣りを始めることにした。


「あんた、因みにどうやって釣るつもりなんだい?」

「もちろん、こうですよ」


 サラティスは水面に右の掌をすっと乗せ、冷たさを感じ取る。


『ぼこぼこ』

「……」


 サラティスは目をつむり、集中する。

 女性はお手並み拝見と黙り行末を見守る。


「それ」


 暫くの間、沈黙の時間を過ごしを目を開き、手を上げた。


「うわ、なんだい」


 女性は咄嗟に腰に下げた短刀を抜こうとしたが、それを正常に視認できると手を短刀から離した。

 水中から顔を覗かせたのは無数の光であった。

 水中と空中の境界線を破り、それは全貌を明らかにした。


「歳の割にはご立派な魔術の腕のようだけど、そんなに氷を出してどうする気だい?」

「出したんじゃなくて、凍らせただけですよ」

「?」


 首を傾げる。


「なっまさか、あんた」


 複数の氷の塊がサラティスの近くに集まってきて、理解できた。


「あんた、水中のマウごと凍らせやがったのかい。魔力は大丈夫なのかい?」

「ありがとうございます。問題ないです」


 氷の中にはマウの姿確認できた。


「一度に十体も釣る……。釣ってはないかもだけど獲るとはやるじゃないか」


 サラティス流魚捕獲術である。

 試行錯誤を重ねた上で一番優れたやり方だと思っている。

 風魔術で強引に水を搔き分け魚を獲ると、周囲に水を盛大にまき散らすことになる。

 それに湖などだと、水が減ったり周囲の環境にも影響が出るし、魚も盛大に警戒、逃げるので何回も使える方法ではない。

 雷魔術が使えるようになってやってみたが、水の中の魚を全滅させてしまったこともあった。

 それに自分達も感電する危険性もある。


「それにしても、器用に凍らせたもんだね。最初の泡がこつかい?」

「はい。最初の泡は魚がいるかどうかの、索敵ですね。で、実は泡は二個の泡をくっつけているんですよ」

「ほう」

「後ろの泡は水球を小さくしたもので、前の泡が魚に当たのが分かると後ろの水球を膨らませて、魚を包み込む。包めたらそれを凍らせます」

「だからぎりぎりのサイズで凍ってる訳かい」


 魚を一か所に集め、纏めて凍らせた方が確実だ。

 だが、そうすると魔力の消費が多いし、凍った範囲外の近くにいた魚に気付かれてしまう。


「気を悪くしたら謝るよ。あんた魔族かい?」

「いいえ。人間ですよ」

「ほーん。見た所学園の生徒のようだけど、最近の生徒はこんなに優秀なんだね」

「得意不得意があるので、そうでもないですよ」

「いやー実に立派だよ。『着け』」


 女性はマウが入った氷の塊に火魔術を使う。

 着火だけなので、火が飲み込んだり、氷が溶けたりもしない。


「保存もいけんのかい。そうだ、あんたいいのかい?魔術の知識をべらべらと」

「?」

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