第384話「指定魔術」
「例えばだが、火魔術に詳しい奴、回復魔術に詳しい奴、土の攻撃魔術に詳しい奴など複数人と協議して結果を出す。人が多けりゃ意見の統一には時間がかかる」
「なるほど」
「それに危険度が高い、魔術の難易度が高ければより慎重に議論しなくてはいけません。ですが今回は特殊も特殊です」
協会の最高責任者とその次が揃っているのだ。
議論はともかく意思決定は最速である。
「つまり指定魔術に決まりで間違いない」
「はい。サラティスさんのそれは威力も非常に高いので」
「どうした?嬉しそうじゃねぇが。普通自分の作った魔術が指定されたら大抵の魔術師は喜ぶもんだぜ」
「はい。……実はこの魔術って山中での魔獣駆除の為に作ったんですよ。ですが指定されたら使えませんよね?」
「なるほどな。山ん中だと火は不味いもんな」
「野外なら風魔術の方がよいのでは?」
「ウォル」
「はい?」
スフィルトゥクスススはにやにやと待ってましたと言わんばかりだ。
「嬢ちゃん、こいつも研究者気質で、少しばかり現地目線が欠けてる、大目に見てやってくれ」
「部長が仕事を選り好みせず、責務を全うして頂ければ、私も外に出れるんですけどね」
「ウォル、平地であれば風魔術で何ら問題はない。山でも人が手入れしてれば問題ねぇが、人が手入れしてねぇと、木々の生え方に統一性はない」
「それらが邪魔と」
「ああ。それに枝や葉が散って自身の視界の邪魔になる。気軽に撃てねぇ。逆に身を隠してぇなら、周囲に風魔術ぶっぱなせばいいんだけどな」
「ですね。ススさんの仰られた通り、火魔術だと延焼などで山火事になった場合大惨事になります。書類に書きましたが、学園の先輩でローネさんという方が光魔術で何かできないかと、研究されてました」
「なるほど。それで光魔術の知識、新規魔術の開発経験がある。それらから応用して新しく魔術を作った訳ですか」
「そうですね」
「てことはこれは嬢ちゃんじゃなくて、他の一般的な魔術師が使うための魔術ってことか」
「はい。魔獣駆除が楽になればなと思ったのですけどね」
「そりゃそうか。嬢ちゃんの腕なら風だろうが火だろうが、影響出さず獲物だけ狩れるだろうよ。だが、嬢ちゃんには悪いが指定されたら、気軽に広めることはできねぇだろうな」
決まり事なのでさすがに諦めるしかない。
先程二人が言った通り、結果をまとめるまでは時間がかかるようなので、ウォールダに案内され出入り口まで戻り、学園に帰った。
「他の職員は私が選定しときますので」
「おう」
二人はソファーに腰を下ろす。




