第383話「万能型?」
「ウォル、これは真面目な話だ。魔術式の平均的威力と、魔術師依存の最大出力。こっち知らねぇとダメだろ。凡人の奇跡なら捨て置けるが、作ったのは知識と腕の土台が作った傑作だ。最悪に備えねぇのは怠慢だろうが」
「……はぁ。普段からそれくらいふざけないで貰えればいいのですけどね」
「ほれ、最大できるんだろ?」
「まぁ、魔力を込めればもっと威力は上げられると思いますが……いいんですか?」
「ああ。攻撃性の高い魔術は最大出力も見たりする」
「なるほど、分かりました」
スフィルトゥクスススの指摘の通り、実際の所光孔の威力は上げることが可能だ。
魔術式は安全を最大限、第一に考えて作った。
なので送る魔力量を増やし、圧縮すれば威力は上がるはずだ。
「行きますよ」
『ドン』
『トン』
「おお、いいな」
「はぁ……あれを破りますか」
砂煙が舞う。
霧が周囲を漂う。
先程とは異なり、光の円柱は土壁を容易く屠った。
衝撃であろう、円柱がぶつかった瞬間、円柱に直接触れていない土が周囲に飛び、砂煙となり周囲を隠した。
土壁に円柱が触れた瞬間スフィルトゥクスススが杖を奏でた。
円柱が土の壁を喰らい、通過した瞬間、水の壁が現れ円柱を包み込んだ。
円柱の熱で水が蒸発した。
円柱は水に絆され消失した。
「『鉄喰』より威力あんだろこれ」
「それよりも速度が厄介ですね」
二人は冷静に分析する。
鉄喰とは上級の土魔術だ。
鉄を容易に断ち切る強さがあり、消費魔力も非常に多い。
「これは指定魔術になりますか?」
「……サラティスさん。これから協議し短くて数日、長いと数か月後に確定します。なので正式な通達は暫く待ってもらいますが、指定魔術には確実になると思います」
「魔術師ってのは嬢ちゃんみたく万能型は少ねぇんだよ」
「万能型?」
「サラティスさん、魔術協会に所属している魔術師の大半は研究者気質です」
「血の気の多いやつはギルドの方が価値を提示できるからな。ギルドの連中の大半はうちは未所属だ」
「ああ、なるほど」
こちらは理解できる。
ギルドであれば、攻撃魔術を正当に行使でき、金銭を稼ぐことができる。
恐らく魔術協会に所属しないのはギルド内での誇り、悪く言えばくだらないプライドだろう。
サラティスが知っていたギルドであればそうだが、時の流れで体質が変っているかもしれないので断定はできないが。
「ですので、うちの魔術師たちはどちらかというと、複数の魔術ではなく、特定の魔術に絞って研究する魔術師の方が多いのです」




