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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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372/450

第372話「地味でいいのです」

「熱さの変化もないね」

「それは光柱を連続で打ち出す魔術ですか?」

「そう。最大で百発まで撃てるようにしたの」

「なるほど。これの回数を増やしてくんですね」

「うん。次は二十でやってみるね」


 同じように繰り返す。


「ごめんなさいね。かなり地味だよね」

「そんなことありませよ。地味だし、特に進歩もない。それが普通じゃないですか」

「……そっか。サラティスさんも同類だもんね」


 魔術の研究が好き。そう意味では肯定できる。


「ローネさん。問題なければ、連続で出す魔術教えて貰っても?」

「あ、そうだね。……魔術式はこう。光柱の魔術式に回数と間隔を加えてます」

「……なるほど」

「ここを変えれば勿論、回数を増やせるし、間隔も短くできるけどやりすぎると、手元で暴発するから絶対変えないで」

「ありがとうございます。注意しますね」

「サラティスさんの腕なら少し増やすくらいなら平気かもだけど。でも、この魔術式だとただの光柱より魔力を使うから注意が必要よ」

「それは仕方ないですよね。消費する魔力を減らすには式を如何に簡素にできるかですからね」

「そうなのって本当にサラティスさん一学年?実はこっそり年齢偽ってたりしない?」

「そ、そんな訳ないじゃないですか。一応私はリステッドの長女ですよ?誤魔化しようないですよ」


 サラティスは当然後になって知ったが、サラティスが無事に生まれた翌日、領内で大々的に発表されたそうだ。

 ロザリアが生まれた時に発表したのを見て、サラティスの時もそうであったと教えて貰った。


「だよね。だって私が一学年の時なんて、難しい魔術をたくさん使えるようになるぞだったもの」

「立派じゃないですか」



 志があるのだから。

「ねえ、サラティスさん。たぶんだけど、この程度ならそんなきっちり練習しなくてもできるのよね……」


 ちらちら。そわそわ。


「試してみてもいいですか?」

「ええ。もちろん……、魔力だけ気を付けてね。ちょっとでも普段と違うなって思ったら言ってね」

「はい」


 深呼吸。

 いつだってそうだ。

 初めての魔術を使う時はわくわくするし、どきどきする

 楽しい。


「おお!」


 サラティスが光柱を連続で出した。


「さすがー。ん?」


 ローネはサラティスが見込通り、当たり前に魔術を使えたのでのこやかに笑った。

 だが、木の板に光柱当たる様子を見ると、一気に真剣な表情で紙にペンを走らせる。


「うーん。ローネさんとあまり変りないですね」


 木の板に変化は特に見られない。


「あるよ。あるある。え?サラティスさん、さっきより数減らしていいからもう一回見せて貰える?」

「はい。いいですよ。……いきます」


 サラティスは再度魔術を使った。

 同じように光柱が木の板に当たる。

 やはり先と同じ結果である。


「まって。まって。サラティスさん光柱だよね?」

「はい。ローネさんに教えてもらった通りですが、どこか間違えてますか?」

「私の光柱見てもらっていい?」

「はい」


 ローネは光柱を使う。

 サラティスは目を凝らしたが、自分のと何ら違いは気付けない。


「木の板じゃなくて、光柱に注目して」


 二人は交互に魔術を使う。


「サラティスさんの光柱ぶつかった後、光が木の板に纏わりつくように広がってないかしら?」

「……言われてみればそうかもですね」


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