第373話「せ、聖女ですか?」
ローネの光柱が木の板にぶつかると、水球などと同じように周囲に光が散って消失する。
サラティスの光柱が木の板にぶつかると、光が木の板の表面に纏わりつくようにして広がり、消えた。
「ほら、ほら」
「あー確かにそうですね」
「何故からしら?」
「……」
サラティスは目を瞑る。
心当たりを必死で探る。
「たぶんイメージだと思います」
「イメージ……。どういったイメージなの?」
「恐らくなんですが……」
サラティスは小さい火球を出した。
「見てください」
土壁の表面に火球を当てる。
火球は光柱と似た様に消え失せた。
「ぶつけた時少しでも効果が出るようにしてるのかと思います」
正直な話、無意識に近いレベルなので推察、自己分析の領域になる。
「確かに攻撃魔術は少しでも対象物に密着していた方が効果的かもしれないね。でも待って」
ローネは紙に疑問を書いていく。
「それって魔術式に追加して効果を?」
「いいえ。恐らく魔力の流し方ですね」
「そっか。そこはすぐどうこうできるものじゃないね」
「そうですね」
「次は回数を変えずに、間隔を短くするね」
「はい。……」
「どうしたの?」
「ふと思ったのですが、どうしてローネさんは光魔術を攻撃魔術として使用したいのですか?」
「私の実家はララスト領にあるんだ」
「へ?……ララスト領ですか?」
「うん。でね、ご存じの通りヘイレーゼとララストは自然が豊富でしょ?で、リステッド程じゃないけど、山から魔獣が降りてきて被害が出たりするの」
「……」
多少は知っている。
「今から二年くらい前かな、普段より魔獣の被害が大きかった村があったんだ。でその村に聖女がいたんだって」
「っぶ、せ、せ、聖女ですか?」
「あ、聖女ってネイシャ様のことじゃないです。あくまで噂なんだけど、聖女みたいな人が村人の治療を手伝ったみたい」
「へー。そ、そんなことがあったのですね」
「うん。私は回復魔術は得意じゃないから、なら魔獣対策に有効な魔術を開発したいなって」
「なら、火や風魔術の方が効率的なのでは?」
「平地ならね。うちは山だから、火魔術は厳禁。万が一でも木に燃え移りでもしたら、大変でしょ?」
「あー、そうですね。なるほど。山の中だから、風魔術も木々が邪魔になりあまり効果的とはいえない」
「そうそう。だから光魔術でピンポイントで燃やせればいいなって。これなら仮に木に当たってもすぐ燃えたりしないからさ」
素晴らしいが気が気ではない。
「因みに聖女ってどういった噂なんですか?」




