第371話「見学です」
三学期最初に習う魔術は水弾であった。
水弾は水球と異なり、殺傷能力のある攻撃魔術となる。
水球は球体の水を出現させ、対象に当てる魔術。
水弾はまるで矢尻のような形で、先端が鋭角になっている。
平均的な威力であれば、人間に突き刺さるが、貫通まではしない程度である。
木製の防具に少し穴が開く程度で、金属性の防具を装着していればダメージにならないので、人間相手ではなく、魔獣に向けて使う魔術である。
放課後、前訪れた学習室に行ってみる。
「あ、お久しぶり。サラティスさん!」
ドアを開けると鞄に荷物を入れてるローネの姿があった。
扉が勝手に開くことが少ないのか、開いた音と共にこちらを見た。
ローネは気付くと、駆け寄ってきた。
「お久しぶりです。すみません、休みの期間わざわざ来ていただたようで」
「ううん。休みに押しかけた私が悪いから。ところで、今から暇?」
「はい。時間ありますよ」
「良かったちょっと来てくれる?」
向かったのは魔術訓練室であった。
「ステイシー教員。予約してたローネです」
「はーい。下級生との距離を考えて魔術の使用をお願いしますね。ってサラティスさんも一緒なの?」
「はい。実験を見せてもらうことになりました」
「そう。さすがは学年最優秀ね。ローネさん。今後の授業に悪影響が出ないように注意してくださいね」
「大丈夫ですよ。光魔術なので」
近くに人がいない所に行き、鞄から木の板を取りだす。
「『固定せよ』。『覆え』」
ローネは土壁を使い、簡易的な台を作った。
その台の上には窪みがあり、そこに木の板を置いた。
窪みがちょうど木の板の厚さとほぼ同じであり、丁度良く台の上に乗った。
その台を囲うように土牢が現れ、正面から以外光が漏れないようになった。
「木の板を見てもらえる?この間のようにはしないから」
「了解しました。紙を貸して貰えます?]
[はい。でも何をするつもり?」
「へ?一応記録しておいた方がいいですよね?」
「……本当に良い子!」
「え?」
ローネは瞳を輝かせ、サラティスの手を握り、腕を振る。
「私を含めて、周りの人が記録係は押し付けあいだから、自分から言ってくれるのなんて……」
こうして実験が始まった。
「『続け』」
「おお」
かなり小さめの正方形になった光柱が連続して何発も放たれ、木の板に直撃する。
十発命中するが特に木の板に変化は見られない。
ローネが木の板を触る。




