第368話「お腹いっぱいなのは幸せなことです」
少し時間は戻り、ダヴァン達を見送った直後。
サラティスは休みが終るので、学園の寮に戻っていた。
「たくさん食べれて、全て無料。すばらしいですね学園は」
「本当ですよ。田舎の学校とは違いお金がかかる分、色々な所のサービスが充実してますよ」
「そうね、サラどうしたの急に?」
三人が食堂で食事をしていた。
サラティスはポロリと零した。
食事ではなく、感想をだ。
「休みの期間、王都の中で孤児を見かけまして」
「そう……」
「三街区で孤児は珍しいですね」
「そうなのエスちゃん?」
「はい。フィーナさんは……」
「大丈夫よ。現実なのだから、悪い所を知るのだって義務よ」
「三街区は学園があり、重要施設も多いため街中を警備、巡回する騎士の数が多いのです。孤児がいても、三街区に入ろうとして見つかって保護されるかと」
サラティスもセクドと主に王都に来た時のことを思い出す。
その時の街区には三街区ほど騎士の姿を見なかった気がする。
「念の為、私も聞いただけで自分で歩いて調べた訳ではないので注意してください。王都が国内で一番孤児の数は少ないそうです。でその孤児がどこにいるか。多いのは五街区、十二街区だそうです」
「……王都の端の住居エリアね」
「はい。五街区は王都と外との関所があり、人の流れが多く騎士達も無害である孤児よりそちらの警戒をするなどもあり、どうしても手薄になってしまうそうです」
「明らかに孤児である見た目の子供ならともかく、そうでもない普通そうな見た目だったら、いちいち騎士さんも確認もできないでしょうしね」
「サラちゃんの言う通りですね」
「サラの所はどうしてるの?」
「リステッドは王都と比べて領民の数が少ないです。ですが、魔獣被害が多いので孤児は多いかもですね。各街に孤児院を置いてます。寄付だけだと経営が苦しいため、孤児院の子供たちにお仕事を手伝って貰ってその収入を経営に使ってます」
「そうなのね……」
「カネカノノノでは商会が孤児を雇うと補助金を頂けます。うちも孤児を複数名雇ってます」
「……」
「フィーナは孤児をなくしたいのですか?」
「もちろんよ。サラは違うの?」
「私もできればなくなって欲しいと思います。でも無理です」
「……」
「戦前も、戦時中も、戦後で平和である今も孤児になる理由は違えど、孤児は無くなりません。孤児を減らす策を考えたり実行するは大事です。でも、そうしてる間にも孤児は出てしまいます。なら、孤児を減らすのではなく、孤児であっても幸せに暮らせるように考えたり、実行した方がいいのかなと、個人的には思います」
「なくすのは無理……」
「あ、諦めろって言ってる訳じゃないですよ。フィーナは若いのですから。なくすなにかを見つけることだってできるかもしれないです」
「若いって……」
「私もサラちゃんの意見に賛同ですね。やはり、病死などで親が死んでしまうのは防ぎようないですからね」
「そっか。捨てられるだけじゃないのよね」
「はい。魔族と人の違いで結果捨て子になることもあるようですよ」
エステリアの言葉がフィーナに突き刺さる。
平民ならでのは本音。
見える景色の違い。
「サラが見かけた孤児はどうしたの?」
「……部屋に戻って話しましょうか」
サラティスが小声で囁く。
フィーナも頷き、部屋に戻った。
三人は椅子に座る。




