第366話「密室、主人と使用人達……」
「ああ。甘い味なら赤色に、苦いなら緑に見えるとよ」
「本当なのかい?」
「ああ。食べさせてない料理を見ただけで、味の判別ができたぜ」
「なるほど。料理人からしたらすごい才能なのかい?」
「例えるなら、魔獣の動作が色で分かる。どうだ?」
「破格の才能だね」
「そしてここからがさらにやべぇ。毒も色で見える」
「……」
セクドが固まる。
「それは確認ができたのかい」
「ああ。間違いないぜ」
「将来的にサラティスの使用人は確かに必要だよ。だけど、まだ先のことだし……」
「サラティスなら全員自らスカウトしてきそうよね」
アレシアは笑う。
「私としては彼女をうちに入れることは認めよう。アレシアはどうだい?」
「ヤーミーちゃん。どうしてサラティスに従ったのかしら?」
「さらさま、いたいのなくしてくれた。あったかくしてくれて、ごはんくれた。それにがんばれば、ごはんいっぱいたべていいって」
「そう……。セクド、私も賛成よ」
こうしてヤーミーが無事受け入れらた。
そして、リステッド家の使用人全員が集められた。
前回は王女様が屋敷に来ると告げられた。
今回は一体何なのか。
「全員揃ったね。急に呼び出してすまない。皆に集まってもらったには訳がある。今回はこれに署名して欲しい」
配られたのは契約書。
中身は情報の隠匿。
王女様の時は領主命令だけであったのに今回は契約魔術を用いるとは。
これから何を聞かされるのか。
皆サインが終わり、セクドが口を開く。
「ダヴァン」
セクドの合図でダヴァンと見知らぬ子供が入ってきた。
既に屋敷の中ではサラティスが孤児を連れてきたという情報は周知されていた。
決してダヴァンの隠し子でも、攫ってきた子ではないと。
「彼女はサラティスが連れてきたヤーミー。将来的にはサラティスの使用人になる」
サラティスの使用人。
その言葉で凡そ理解した。
ダヴァンが紹介したということは、料理長にするのだろうと。
「これだけなら、隠すことじゃない。ただ、彼女はちょっとした事情があってね」
ヤーミーが魔人で孤児であることを告げた。
だが、使用人達に変化はない。
特段珍しいことでもない。
既に前例もあるため、さすがはアレシアの子であると思っただけである。
「ここからが理由なんだけど、彼女はどうやら、味が色で認識できるそうだ」
ここで料理人たちから驚嘆の声が上がる。




