第362話「見え方」
「ヤーミーお前、このショモナモルは何色だ?」
「あお」
「っつ」
ダヴァンは驚いた顔でヤーミーの目を凝視する。
「ダヴァン、この赤いショモナモルは甘いやつです。緑は苦く、紫は辛い」
「この青だと言ったのはしょっぱいやつだぜ」
「ヤーミーさん、あなたは味が色で見えてるのではないですか?」
「?」
「聞いたことねぇぜ」
「身体能力を考えると彼女は魔人である可能性があるかと。それならば、そういった能力を持っていたとしてもなんら不思議ではありませんよ」
「確かに魔人は孤児になりやすいからなぁ」
「ダヴァン。この能力がどう活かされるか未知数ですが、囲うには十分な能力ですよね?」
「っつ。ちょっと待ってくれ」
ダヴァンは急いで保冷庫から革袋を持ってきた。
サラティスは決して触るなと言われ、袋の中は未知であった。
「これの色は何色だ?」
袋を開ける。
中には緑色した袋のような物が入っていた。
見た限り何か魔獣の臓器のように見えた。
「くろ」
「サラティス様、これはギドンの毒袋だ。っとこっちはどうだ?」
別の袋を開ける。
「くろ」
「……サラティス様。俺からセクド様に話つける。サラティス様が成人して家を出るまでに立派な料理人に育ててやる。だからこの能力のことは誰にも言うな」
「……非常にありがたいのですが、何故です?」
「たぶんだが、毒は黒色に見えてやがる。つまり、毒物が入ってる場合見ただけで分かるってことだ」
「それは……」
ある意味で不味いことであろう。
毒が見て分かるというのは、貴族が喉から手が出るほど欲する能力である。
「貴族だけじゃねぇ。犯罪組織だって売りつける目的で誘拐しようと企むかもしれねぇ。争奪戦が起きるかもしれねぇ」
「……ヤーミーさん。私はサラティス・ルワーナ・リステッドといいます。最北のリステッド領の貴族の娘です。彼が使用人で料理長のダヴァン」
「さらてぃすと、だゔぁん」
「先程家族がいない、家もないと言ってましたが、普段はどこで寝ているのですか?」
「やねのうえとか、かわのちかく」
「……宜しければ家に来ませんか?」
「ごはんくれる?」
「はい。一日三食きっちり食べさせてあげますよ」
「いく」
「ダヴァン、ヤーミーさんにかかる費用の請求は全て私にしてください」
「あいよ。まぁ、早すぎるしガキすぎるが、いいかもしれないな」
「え?」
「サラティス様は将来ケイトの坊ちゃんと結婚して屋敷を出るだろ?」
「はい。リステッドのどこかに屋敷を構えるかと」
「サラティス様には申し訳ねぇが俺はそっちには行けねぇ。仲が悪い訳じゃないんだ、人が足りるまではこっちから使用人出すだろが、サラティス様の屋敷の使用人達を揃える必要がある」




