第360話「無造作」
サラティスのように丁寧に丁重に扱われて伸びたのではなく、ただ切らないままだけいたかように見える無造作な伸び具合。
ぼろきれを纏ったと表現した方が似合う、服。
肌の汚れなどから、その子供の事情が凡そ把握できてしまう。
「ダヴァン、残ってるお肉使ってください。食事の準備をお願いします。その間にこの子をお風呂に入れます」
「……一応褒められた行為ではないって事だけは言っておくぜ」
「分かってます」
見た目は確かに子供である。
だが、その俊敏性は目を張る。
風呂という狭い空間で襲われたら。
危険を事前に回避するとうことはとても大切だ。
「行きますよ」
サラティスは子供を連れて風呂場に。
「あら、女の子だったのですね。ダヴァンに任せないで正解ですね」
服を脱がせると子供が女の子であることが判明した。
「ほら、冷たくないでしょう?」
「……あったかい」
「はい。まず……髪の毛を洗います。いいと言うまで目を瞑っててください」
そういうと、サラティスは目を瞑って見せる。
「じゃないと、泡が目に入って痛い痛いになりますからね」
サラティスは一つ一つの動作を説明する。
流され風呂の床から排水されようと、向かうお湯は透明ではなかった。
頭、体を綺麗にし終え、髪を乾かす。
綺麗にするだけでも、けっこう時間がかかった。
少し大きいが、サラティスの服を着せてあげた。
サラティスは服を着たままであったが濡れたので同じく、その場で着替えた。
「できてるぜ」
キッチンに向かうと、キッチンから料理を運ぶダヴァンの姿があった。
「たぶん、この子はノースで食べてもらった方がいいかもしれませんね」
「そうだな」
見る限り孤児であろう。
幼いながらそのような環境で育つと、当たり前の物が使えないことも多い。
「この先が三つに割れているのがノースといいます。これをお肉にぷすっと刺して、口に運んで……もぐもぐと食べます。本来の持ち方はこうですが、やり難かったら掴んでもいいです」
「うん」
「これがスープなど掬う時に使うトゥルーン。こっちの二本の棒……今は難しいと思いますが、幅広く使えるのがムティックになります」
ネイシャ時代一般的な食具はノースとトゥルーンの二つであった。
戦時中他国の傭兵がムティックを使っているを見たことがあるので、物自体は知っていた。
サグリナ王国ではこの三つが一般的な食具になっている。
戦後直後の不安定時期、ノースとトゥルーンに比べ、ムティックは製造が簡単なこともあって普及し、結果根付いたようだ。
「はらいっぱい」
「そう。良かった。じゃ、ダヴァンにありがとうと言いましょう。作ってくれた人に感謝するのです」
「ありがとう」
「おう。おめぇさん名は?」




