第307話「密室、先輩と後輩……」
「教員生活はどうです?」
「それを知って君の何になるのだ?」
「相変わらずですね。最初先輩が教員て聞いた時は、生徒が怖がって授業になるかしらと思いましたが、大丈夫そうですね。ここまで長続きされてるようですし」
「相変わらず不要な気遣いだな」
「手紙は読んでくれました?」
「最初不正の依頼かと思い捨てようかと思ったぞ。なんだアレは?一体何が目的であのような意味不明な物を送ってきた」
チュースは過去、生徒の親からそれとなく贔屓してくれという手紙を貰ったことがある。
もちろんそれで変えたことは一切ないが。
そして協会で指導したことのある後輩から手紙が届いた。
問題がただの後輩ではないという点。
その後輩の家は自身の生家のある領地の領主家であった。
なので後輩のことは、協会で指導する前から知っていた。
家が近くといくこともあり、なんなら彼女が子供の時から知っていた。
そんな後輩から届いた手紙。
気はのらないが開けて中を読む。
「今年の入学生で一人とんでもないのがいる。驚かないであげてくれ。誰かも分からないし、何にかも分からない。これがきちんと教育を受けた人物が送る内容かと疑ったぞ」
「名前を書いたら場合によってあの子に不利益になるかもしれないじゃないですか。私は家庭教師をしていたので守秘義務上具体的な実力は書けないので。苦肉の策ってとこです」
「……」
「因みにどうです?学年最優秀だと思いますが」
「私が生徒の成績に関して、例え該当生徒の元家庭教師であっても漏洩する訳なかろう」
「あーまぁ、そうですね」
「だが授業以外の所では圧倒的な魔術操作技術、柔軟な発想の持ち主であることは理解した。教えて直ぐの魔術において、このレベルを発表だ、嫌でも理解した。さすがは副局長の教え方は一流ですな」
「フィーナ王女様にはきっちりと教えましたが、サラティスはあれ、私は一切関係してないですよ。ほぼ彼女の才能、日頃の賜物です」
「……これが彼女達の発表の内容だ」
チュースは書類を渡す。
これは既に公になっているし、会員のシェリーはいつで見れるものなので渡すことに問題はない。
「……なるほどね。魔術の組み合わせで実現ね」
「……」
「どうしました?」
「教え子の功績にほぼ無反応なのだなと」
「感心してますよ。でも既存のしかも初級の魔術の組み合わせですからね」
「……」
ふと考える。
「っつ」
そしてあの好ましくない輩の顔が浮かんだ。
それは目の前にいる後輩のせいだろう。
点と点が繋がる。
「君はまだアレと縁を保っているのかね?」
「アレ?」
「そうだ」
「ワイビーのことですか?」
チュースは頷く。
「そうですね。仕事の付き合いもあるので」
「サラティス君が奴を知っていた」
「あーそれは私との縁のおまけでですね」
「確か奴は最近魔術具を立て続けに開発していたな」
「そのようですね」
「最近の作品はどれも個人ではなく合作で、魔術師は匿名だったな」
「そのようですね」
「今日、発表会の功績を考え三人の協会への所属申請しにきたのだが、どうやらサラティス君は学園に来る前に既に会員になっていたそうだ」
「そうなんですね」
「確か美髪器に関しては新規開発された魔術を使っていたな」
「そのようですね」
「……なるほどな」
シェリーはくすり笑う。
「驚くな……か。因みにフィーナ王女様は彼女の弟子だと言っていたが?」
「王女様の中では私は教師、彼女が師匠だそうです。そもそも、私がサラティスの家庭教師をしている縁で、二人が出会い、その中で私の話があがり、王女様にご指導をさせて頂いたと経緯ですね」
「……」
「あの様子であるなら、友達ともうまくやっていそうだし、安心しました。強い光は人を惹きつけますが、強すぎると目を焼きますから」
「……」




