第306話「お久しぶりです」
「……」
「……」
一瞬の静寂。
「魔力ですか?」
「ふ、残念ながらそのような特別な力、この目にはありませんよ。ただ、こちらの目より、よく遠くのものが見えるだけです」
「そうなのですね」
ふと机の上の人形を見るとまたもや傷が拵えてあった。
「ではいきますね」
再演。
「ありがとうございます。サラティスさんは既に会員という話ですが納得しました。お三方将来がとても楽しみです」
「では、二人の申請は問題ないですかね?」
「ええ。手続きに移りましょうかね」
無事に終わり、二人は会員証を受け取った。
一階に戻ると意外な人物と遭遇した
「あ、シェリーさん」
「あら、サラティスにフィーナ様、お久しぶりです」
それはシェリーであった。
「そういえば、サラティスあんた、学祭でとんでもないことしたんですって?」
「まずいようなことはしてないですよ」
「研究よ研究。また面白そうなことして。しかもグループでだなんて」
「サラの思いつきですよ。私達はほんとちょびっとお手伝いしただけで」
「後でじっくり見させてもらうわね。そうだ、サラ。例の件ひとまず書籍の名前まとめたから後で送るわ」
「ありがとうございます」
「すまないが、諸君先に戻っていってもらえるか?手続きがまだ残っているのでな」
チュースを一人残し、協会を出た。
騎士がいる中で獣牽車乗るだけである。
三人は行き同様何事もなく学園に戻った。
「久しぶりですね、チュース先輩」
「これはこれは、魔術協会南支部副局長シェリー殿ではありませんか」
「先輩怒ってらっしゃいます?」
「まさか、いきなり手紙が届いて、その内容が意味不明であったくらいで怒るなどある訳ないですな」
「個室借りるわね」
「畏まりました」
「先輩行きましょう」
シェリーは受付に協会員同士で打ち合わせに使える部屋を借りると手続きをとった。
受付はシェリーの顔を知っているので二つ返事した。
基本的に役員や肩書を持っている協会員の顔を把握してなければ、務まらない。
二階の空いている個室に入る。
チュースは静かについてきた。
椅子に腰を下ろす。
「久しぶりですね」
「そうだな」
「先輩が学園に赴任してから、私もいつのまにか副局長になりました。先輩のお母様寂しがってましたよ?ずっと帰ってないからって」
「……心遣い感謝する。だが、家の問題なので放っておいてくれ。ザバラット家に迷惑が懸かるなら当人に言って欲しい」
「迷惑なんてありませんよ。ご近所同士変わらず仲良くさせて頂いております」
「……そうか」




