第308話「学祭最終日」
学祭はとても充実していた。
ジェリドの出番の時は応援しに行き、それ以外の時間はいろいろと見て回った。
そして迎えた最終日、王や大臣などが学園に訪れることもあり、普段以上に警備が厳重であった。
最終日の今日は剣、弓、格闘、魔術の模擬戦闘の決勝戦が行われる。
サラティス、フィーナ、エステリアの三人は初日と同じくホールにその姿があった。
ホールにて緊張した面持ちで待機していた。
それの原因である、王がホールに来訪した。
「楽にしていい。あくまで儂は学祭の参加客で来てるからの」
教員に向けて告げる。
王の後に続いて大臣などが、国の顔がぞろぞろと入ってきた。
「フィーナよ息災か?」
「はい、おじい様」
「かかかか、なら良い。そしてサラティス・ルワーナ・リステッドよ」
「はい」
「休みの間、孫娘の我儘に付き合ってもらい祖父として感謝する」
「とんでもございません」
「それとぬしがエステリア・ノウヴァか。同じく付き合ってもらい感謝する」
エステリアは緊張のあまり声が声にならず、結果身振りで受け答えする。
「フィーナが回復魔術の鍛錬を頑張っていたのは知っておった。じゃから、学祭は回復魔術に出て、頭角を現すかと思っていたが、まさか研究だとは。しかも、今回発表物の中で一番優れているとは驚いた。早速見せてもらおうか」
「大丈夫ですよエスちゃん。王様は悪い人じゃないんで、そんな緊張することはないですよ」
「そ、そそそ、無理ですよ!」
「サラティスどうした?」
「エスちゃんが、王様の目の前なので緊張しているんです。だから悪い人じゃないよって
言ってるんですが……なかなか」
「かかかか」
王は笑う。
後ろにいる大臣の表情がぴくりと動いたが、主君が笑っているのでまだ静止していた。
「国の宝にそう評価されるとは、光栄なことだ」
サラティス達は同じように発表し、実演してみせた。
緊張していたエステリアだが実験のため、王から離れたのでなんとかこなすことができた。
王は笑いながら三人を褒めてホールを後にした。
フィーナの顔を見て、サラティスは微笑む。
大役を果たし、三人は校庭に移動した。
校庭では、格闘、弓、模擬戦闘、剣の順番で試合が行われるとのこと。
格闘は五年生同士の戦いであった。
「素人の私たちには理解できない、高等な技術があるのでしょうけど、セクドさんたちの動きを見たらなんだか、少し緩やかに見えてしまうわね」
サラティスの目からしても同様な感想だ。
決してあの二人は悪くない。
決着がつき、二人に惜しみない拍手が送られる。
そして次は弓である。
離れた的に矢を当てるシンプルな内容だ。
ただお互いが成功するごとに的の距離を離していく。
五学年の男子生徒と四学年の女子生徒であった。
魔術ではなく武芸の種目に女子生徒が出るのは珍しいことであるらしく、女子生徒への応援の熱量が大きい。
結果女子生徒が勝ち、割れんばかりの拍手が送られた。




