3話 新しい朝
顔に朝日が当たったのが眩しくて、手で遮った。
「眩し……、朝か、学校準備しないと」
ごそごそと布団から出て、ぼんやりと部屋を見ておもいだした。
「俺、そうか昨日ここにきたんだ……。やっぱり夢じゃなかった……」
俺は、昨日とりあえず制服は脱いで寝たけど、着替えなんてなかったから、制服のズボンとシャツを着て、顔を洗った。
「えっと、朝ご飯ってどうするだろう」
コンコンッ
「ツカサ、起きてる?」
「コムギ?起きてるよ!」
俺がドアを開けると、コムギが立っていた。
「朝ごはんの事、伝えてなかったなって思って。ツカサも朝ご飯食べるでしょ?キッチンに行きましょう。昨日はマスターが夜ご飯を出してくれたけど、朝は順番に作ってるのよ」
「そうなんだ、料理はマスターがしてるのかと思った。コムギも出来るんだね」
「私だって料理くらい出来るわよ!そりゃ、マスターみたいに上手じゃないけど」
キッチンへ着くと、コムギが料理の準備をしながら説明してくれる。
「ここに材料は大体あるから、それを使ってその日の当番の人が作るのよ。今日は私が当番だから、ツカサは見ててね!ツカサは料理出来るの?」
「料理はあんまりやった事ない……家庭科でやったくらい」
「家庭科って学校でするの?」
「そうだよ、コムギは学校ないの?」
「学校は無いわよ?」
「そうなんだ、じゃあテストとかも無いんだ…ちょっと良いね」
「料理、あんまり出来ないなら、暫く一緒にやって覚えればいいわよ」
「ありがとう、そうしてくれたら助かるかも」
色々話しているうちに、コムギが料理を作っていく。
俺はコムギが作った料理をダイニングの方にあるテーブルに運ぶのを手伝った。
「あれ?料理4つあるよ?」
「あっ、そうだった。昨日ツカサに紹介出来なかったけど、ここにはもう1人いるのよ。もうすぐ来るから、その時紹介するわね」
「わかった」
もう1人いたんだ……
コムギの料理がテーブルに並び終わった頃、1匹の黒猫がダイニングの方へ入って来た。
「おはよう、コム……ギ」
俺を見てビックリしたのか、尻尾が大きく逆立った。
「え?誰?コムギは?」
「あ、ネロ!来たのね、朝食出来てるわよ」
「うん、それよりコムギこの人は?」
「食べながら説明するから、席に着いて」
「……わかった」
ネロと呼ばれた黒猫は俺をチラッと見ると席に着いた、俺もコムギに促されて、席に着くと、マスターがやって来た。
「みんな、おはよう」
「マスター!おはよう!」
「マスターお、おはようございます」
「おはようございます」
「ツカサ、昨日は眠れたかい?」
「はい、大丈夫です」
「マスター、あの、この人は?」
「ああ、ネロは昨日遅くに帰って来たから紹介していなかったね。彼はツカサ、コムギが連れて来た迷い人だよ」
「迷い人……コムギが連れて来たの?」
「そうよ。昨日のお使いの帰りに、偶然見つけたの!彼もこれからは一緒だから、ネロも色々教えてあげてね!」
ネロがこちらを見たので、俺は挨拶した。
「司です、これからお世話になります。よろしくお願いします」
「あ、僕はネロ。よ、よろしく」
ネロは多分コムギと同じくらいの男の子で、ちょっと人見知りで大人しい子のようだ。
挨拶を交わした後は、コムギが作った朝食を食べた。スクランブルエッグにベーコン、パンに牛乳。俺がいた世界と変わらない…。
ベーコンの端っこが少し焦げていたけど、全部ちゃんと美味しかった。
朝食を食べたら、俺はコムギと買い出しに出かける事になっている。
この世界、どんな感じなんだろう、不安と不思議な世界に対する好奇心が、少しだけ湧き上がる。
俺はコムギに連れられて町に出た。
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