11話 祭りの準備(中編)
昨日は俺とネロで祭りの準備に向かったから、今日は俺とコムギで行くことにした。
「今日も神社の社務所行くんでしょ?」
「うん、特にロイさんからは連絡ないしね」
神社の社務所について、昨日と同じように声をかけると、今日は紫色の袴を履いた白い猫が出て来た。
「はいはい」
「あ、すみませんお祭りの手伝いに来たんですけど……」
「あー、はいはい。聞いていますよ、昨日も来てくれた子だね」
「はい」
「私は、昨日来た子とか交代で来ました!」
「うん、来てくれてありがとう。私はここの神主をしているサツキだよ」
サツキさんと話していると、ガラガラと戸が開き昨日、社務所を教えてくれた虎柄の猫が入って来た。
「サツキさん、誰かこっちに手伝い出してくれ」
「ああ、丁度良かった。今二人手伝いに来てくれたところだから、彼らにお願いしましょう」
そう言うと、サツキさんは俺とコムギに向き直る。
「そう言うわけで、今日は彼を手伝って下さい」
「分かりました」
俺とコムギは虎柄の猫の方に歩み寄った。
「お前さんは昨日のやつか」
「はい、ツカサって言います」
「私はコムギです」
「おう、俺は寅丸だ!寅さんで良いぜ。んじゃ向こうで説明するからついて来な」
「「はい」」
俺とコムギは寅さんに着いて行く。寅さんが向かったのは神社の広場で、たくさんの箱が置かれていて、中には提灯が入れてあった。
「この提灯を飾るのを手伝ってくれ」
「凄い……たくさんあるわね」
「場所はこの紙に書いてあるから、見ながら飾ってくれたら良い。分からないことがあったら、俺は向こうにいるから聞きに来てくれ」
「「はい!」」
寅さんが向こうへ行ってしまったので、俺達は箱を持って近くの場所から提灯を二人でつけ始めた。
「私、今まで祭りは楽しむだけだったけど、準備をしてくれてる人がいたのよね」
「そうだね、俺のところにも祭りはあったけど、手伝だったことなんて無かった」
「でも、準備から参加すると、ちょっと特別な気分になるわね!」
「うん」
それからあちこち提灯をつけて回っていると、俺達を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい!ツカサ君!コムギちゃん!」
「あ!ロイさん!」
見ると、ロイさんが手を振りながらこっちへ来ていた。
「いや〜!兄さんから連絡が来てね、君達に場所も何も伝えてなかっただろう!って怒られちゃったよ〜」
「……」
「まあ、でもちゃんと手伝い出来てるみたいで良かったよ!今年は少し人手が足りないらしくてね、ユキちゃんから相談されてたんだ!綺麗な女性の困りごとはほっとけなくてね!」
「「……」」
俺とコムギは顔を見合わせて、二人でロイさんをジト目で見た……
「何だい、そんな目で見ないでくれよ」
「要するに、ロイさんがユキさんに良い顔したかっただけじゃない……」
「うん」
「まあまあ、良いじゃないか!祭りの準備でみんな困ってたのは本当なんだよ!」
「まあ、そうなんだけど、なんか納得出来ないのよね……」
「とりあえず準備は明日までだから、よろしく頼むね!」
手を振りながらロイさんは去っていった……。
「結局何しに来たのかしら?」
「何だろう?」
「まあ良いわ、残りの提灯を飾りましょう」
「そうだね」
「そう言えば、ツカサのところの祭りってどんなの?」
「うーん、俺のいた街では夏にまつりがあって、出店とか出て、神輿とかが街を回って、舞台で踊りを踊ったりしてたよ、それで夜には花火が上がってた」
「じゃあ、こっちとあんまり変わらないわね」
「そうなんだ。まあ祭りって何処も似たような感じかもね」
コムギと話しながらも作業を始めてかなり時間がたった。
「よし!最後の一個だね!」
「うん。寅さんのところに終わった事を知らせに行こう」
俺達は、寅さんが向かった先へ行ってみたら、丁度、寅さんも休憩し始めたばかりだったんだろう、座ってタオルで汗を拭いているところだった。
「寅さん!」
「おお!」
「提灯つけ終わりました!」
「早かったな!ありがとよ!お前達も疲れただろう、これでも飲んで、ちーっと休憩していけ」
「「ありがとうございます」」
俺とコムギは寅さんからジュースを受け取り、近くの適当な木陰で場所することにした。
休んでると寅さんが話しかけて来た。
「そう言えば、昨日婆さん連中から聞いたが、お前さん山さん探してるんだって?」
「あ、はいそうです」
「山さんだったら、毎年祭りには顔出してるから会えると思うぞ」
「あ、昨日ウメさんから聞きました」
「寅さんは山さんの事知ってるの?山さんてどんな人?」
「うーん、俺もあんまり話したことは無いんだが、山さんはちょっと変わっててな、いつも色んなとこに行ってるんだよ、色々調べて回るのが好きなんだと、冒険家ってやつだろ。確か、生まれがここだから、年に一回帰ってくるだって聞いたな……」
「見た目は?冒険家って言ってたけど、凄い大きいリュックとか背負ってるの?」
「はっはっはっ!物語の冒険家はそうかもな!見た目はただの黒猫のおっさんだよ!まあ、それっぽい帽子はかぶってるけどな!」
「え〜ただのおじさんかぁ〜」
「まあ、俺も見かけたら声かけとくよ、どうせこの辺で人間は今はお前さんくらいだから、言っておけば、向こうから声かけてくるかもな!」
「よろしくお願いします」
「さて!休憩も終わるか!お前らは店に帰るのか?」
「一応そのつもりです。明日も手伝いありますか?」
「そうだな、明日まではまだ祭りの準備があるから来てくれたら助かる」
「分かりました」
俺とコムギは寅さんに挨拶をすると、店に帰った。
店に戻って、ロイさんが来たこと、ロイさんから聞いた事をコムギがマスターに話すと、マスターはため息ついていた。
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