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『月の滴』と猫と僕  作者: 洸夜 真琥


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10話 祭りの準備(前編)

昨日ロイさんからお祭りの手伝いをお願いされたので、今日は俺とネロが手伝うことにした。


「そういえば、どこに行けば良いか聞いてなかったんだけど……ネロわかる?」

「分からない……でもお祭りの手伝いなら、神社の方へ行けば良いんじゃないかな?」

「とりあえず行ってみて、そこにいる人に聞いてみようか」

「うん」


俺達は神社へ向かうことにした。

この前声が聞こえた、小さな公園の横の道を奥へ進んで行くと途中から両側に竹垣の道が現れた。

道の途中には赤い灯篭が立っている。

竹垣の向こうは竹林になっているようだけど、竹垣が高くて見えない。


昼までもかなり雰囲気がある場所だな……


「なんか雰囲気あるね、こんな場所あったんだ」

「神社はこの先だよ」


神社に近づくと、話し声が聞こえてくる。

鳥居をくぐり、辺りをキョロキョロした後、少し離れた場所で作業していた、鉢巻を頭に巻いた虎柄の猫に声をかけた。


「あの、すみません」

「あ?何だ?……ん?人間……あ〜アンタ月の滴さんとこの人間か」

「そ、そうです」

「で、どうした」

「あのロイさんに言われて……祭りの手伝いに来たんですけど……」

「あー、ロイのやつか。そういや手伝いがどうのって言ってたな……俺も詳しく分からんから、あっちの社務所に行ってみな」

「あ、はい。ありがとうございます」


虎柄の猫は、また作業に戻ったので俺達は社務所に向かうことにした。


「社務所ってあれかな?」

「多分そうだと思う」


歩いて近づくと、建物の入り口に看板があり、『社務所』と書いてあった。


「ここであってるみたいだね」

「誰かいるかな……」


社務所の戸を開けながら中には声をかけてみる。


「すみませーん!」

「はーい!」


奥から赤い袴姿の白猫が出てきてた。


「どうしました?」

「あの、ロイさんから祭りの手伝いをするように言われて……それで、入り口にいた方に、ここで聞いてみたらって言われて……」

「そうなんですね。ロイさんが誰か手伝いを寄越すって聞いてましたが、あなた方でしたか」

「はい」

「わざわざ来ていただき、ありがとうございます」

「あ、いえ」

「じゃあさっそく、お手伝いをお願いしますね。今日は、祭りに使う編笠につける花飾りを作るのを手伝ってもらって良いですか?」

「「大丈夫です」」

「じゃあご案内しますね。あ、私この神社の娘でユキって言います。困ったことがあれば声をかけて下さいね」

「俺はツカサで、こっちがネロです」


社務所から中に上がらせてもらい、別の部屋へ通された。そこは祭りで使う物なのか色々な物が入った箱がいくつも置いてあり、すでに何人か床に座って作業をしているところだった。


「ここで飾りとか祭りで使う小物とかを作ったりしているんです。ウメさん!この子達が手伝ってくれるから、やり方を教えてあげてもらって良いですか?」


ウメさんと呼ばれて顔を上げたのは三毛猫で、俺達を見るとにっこり笑って手招きをしてくれた。


「では、詳しい事はウメさんに聞いて下さい」

「「はい」」


ウメさんの近くに行き、挨拶をする。


「「こんにちは」」

「はい、こんにちは。お手伝いに来てくれたのね、ありがとう。若い人が手伝ってくれて助かるわ」


ウメさんはどうやらおばあちゃん猫のようだ。


「じゃあ、さっそく作り方を教えるわね」


俺達にそれぞれ材料を渡してくれて、一緒に作りながら作っていく。


「そうそう、お名前は何と言うの?」

「ネロです」

「ツカサです」

「ネロ君とツカサ君ね、私はウメっていうのよ。ツカサ君はもしかして迷い人さんなのかしら?」

「そうです。今は月の滴でお世話になっているんです」

「あらあら、そうなのね。迷い人さんなんて随分久しぶりねぇ〜」


ウメさんと話していると、近くで作業していた別の猫が話しかけてきた。


「確かに久しぶりだねぇ、前に見たのはいつだったか、確か……最後に見たのはゲンさんところじゃない?」

「いやいや、ほら!まだその後もいたわよ!」

「誰の事?花屋の子?」

「違うわよ!花屋はもっと前よ!」

「魚屋さんじゃない?」

「そっちも前よ!あ!魚屋さんといえば今日の夕方にスーパーでセールやるらしいわよ!」

「あらそうなの!じゃあ帰りに寄らなくちゃ!」


また別の猫が話に入ってきた……この三匹は同年代の顔馴染みのようで、そのまま三匹で話を始める。

だんだん話がズレてきているんだけど……

俺は迷い人の事を聞きたくて、口を開きかけるた。


「で、何の話だったかしら、そうそう最後にいた人よね!」

「ああ!思い出した!確か山さんのとこにいたのよ!」

「「あー!」」

「山さんよ!そうそう」


俺は、山さんのところにいた人について、もっと詳しく聞いてみた。


「その山さんのところにいた人ってどうなったんですか?」

「そうね、どうしたんだっけ?」

「あら、どうしたのかしらね、いつの間にか見かけなくなった気がするんだけど……」

「帰ったんじゃない?」

「山さんから、帰ったとは聞かなかったけど?」

「じゃあまだいるのかしら?」

「え!まだいるんですかその人!?」

「うーん、わからないわ」

「山さんに直接聞いたら良いんじゃない?」

「でも山さんってあっちこっちフラフラしてるじゃない」

「確か、いつもこの祭りには顔出してるわよ」

「山さん見かけたら、声かけといてあげるわ!」

「よろしくお願いします!」


俺はかなり興奮気味に頼んだ。

もしかしたら、こっちにいる人に会えるかもしれない!


その後も色々話を聞いたり聞かれたりしながら作業を進めていった。

最初はちょっと歪な形になったけど、何個も作っていくうちに段々と綺麗な飾りを作れるようになっていて、気づいたら花飾りもだいぶ出来ていた。


「花飾りは大体このくらいで良いわね、二人ともありがとう。明日も来るの?」

「はい、明日も来ます」

「じゃあ明日は別のことを頼むと思うから、また社務所でユキちゃんに声をかけてね」

「分かりました」


俺達はおばあちゃん達に挨拶をして、今日は店に帰った。

店に帰ったあと、ロイさんに場所とかを聞いてなかった事をマスターに伝えると、マスターがちょっとロイさんに怒っていた……

よろしければ是非、ブックマーク、評価をお願いいたします!


他にも、投稿しておりますので、ちらも読んで頂ければ幸いです♪


感想も頂ければ幸いです。

これからもどうぞ宜しくお願いします。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです!

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