表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日からここは事故物件  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/70

39

 ぎくり、と体がこわばる。

 そんなはずはない。


 そう思いたいのに、静かな家の中にはよく響く。


 カチカチという、時計の秒針の音。

 カカカカッ、ガリッ、ガガガ。


 近くの道路を走る、車の走行音。

 カカカカッ、ガリッ、ガガガ。


 チチチ、と種類は分からないけど、何かの鳥の鳴き声。

 カカカカッ、ガリッ、ガガガ。


 日常的な音の中に、異音が混じる。


 ――ガンッ!


「ひゃぁッ!?」


 急に、玄関扉をひっかくようなものとは違う、何かがぶつかるような大きな音に変わる。


「な、なに――」


 ――ガンッ! ガンッ!


 玄関扉をひっかくのをやめて、扉を叩くようになったってこと? でも、それにしては妙にリビングにも音が響いている。玄関の扉を隔てて聞こえるような、少しくぐもった感じはしない。

 まさか、玄関を蹴破ったってこと? 


「そんな、でも、鍵が……」


 ――高月くん、鍵、閉めてたっけ?


「……っ!」


 ぞわり、と鳥肌が立つ。

 高月くんが鍵を閉めたところ、見ていない。倒れないか心配だったから、彼のことは視界には入っていた。でも、家のインテリアが独特過ぎて、意識はそちらに向いていた。

 とはいえ、高月くんは、少しふらついていただけで、おかしいところなんて何も――。


「――あ」


 違う、違うよ。

 高月くんの家は、高月くんが玄関扉の鍵の開け閉めをするんだから。

 わたしみたいに、親に開け閉めしてもらうルールじゃない。子供が開け閉めしない、わたしとは違う。

 そんなわたしが、なんの違和感も抱かなかったってことは。


 ――ガンッ!


 わたしは恐るおそる、リビングと、玄関ホールつなげる扉に近づく。

扉にはガラスが、細く横に入っている。わたしの家のものと違って、すりガラスじゃないから、玄関の様子がちゃんと見えた。角度的に、正面からじゃないから、多少の死角はあるけれど。

 それでも、玄関が、玄関扉が、見える。


 ――ガンッ!


 玄関の鍵は開いている。ガン、という音は、ドアガードが激しくぶつかっている音だ。玄関を何者かが開けようとしているけれど、ドアガードがあるから、完全には開けられない。

 だからこそ、ドアガードを壊そうと、何度も、何度も、扉を思い切り動かして、ぶつけているのだろう。


 ――と。

 ドアガードの、引っ掛かる部分が本体アームの途中まではものすごい速度で扉が引かれたのに、最後までぶつからず、そのまま、ピタリと止まる。


 諦めた……?

 そう思ったのも、一瞬。


 のろり、と、扉の隙間から、芋虫のように、指が這い出てきた。

 指の先の爪。オーバル型の、赤いそれだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ