表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日からここは事故物件  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/70

38

 頼まれたし、洗い物をするか、とキッチンへ向かう。カウンターキッチンと言えばいいのか、リビングからキッチンがよく見える。まあ、リビングからよく見えるのは、キッチンだけではなく、高月くんの部屋へ続く扉とかもだけど。平屋だからか、廊下がほとんどない。玄関上がってすぐの場所以外は、全て直接扉がつながっている。


 キッチンのシンクの中には、皿が二枚と箸が二膳。あとはコップが三つ。調理器具がないし、レトルトで済ませたのかな? コンビニでご飯を買っているみたいだったし、自炊はしないのかもしれない。

 そう考えるとコンロとかが綺麗なのは、掃除好きでちゃんとしている、というよりかは、ただ使わないから汚れない、という風にしか見えない。


「このくらいならサクッと終わるかな……」


 わたしはスポンジに洗剤をふくませ、水道の水を流す。皿の汚れが乾燥してこびりついているみたいだから、すぐにスポンジで洗っても落ちないだろう。

 それにしても、洗い物がシンクの中一杯……とかならまだしも、これだけのものも洗えないとなると、よっぽど酷い風邪をひいたのかも。


 ……生きてるよね?

 なんだか心配になってきた。いや、流石に風邪で即死ってことはないと思うけど……。


 でも、人って案外簡単に死ぬしな。

 わたしみたいに。


「いや、笑えねー」


 自分で考えておきながら、冗談にならないことを思いついてしまい、思わず独り言を言ってしまう。でも、死んだ人間が言う、人って簡単に死ぬよね、は洒落にならない。

 皿に水を当て、汚れをふやかしている間にコップを洗ってしまおう。水を飲んだのか、こっちの方、ほとんど汚れてないし。


「……? 地震、かな……。いや、揺れてるか?」


 すすぎが終わったコップを水切りかごに置くと、カチカチとコップとステンレスの水切りかごに当たって音がなる。

 水を止めて、揺れを確認する。

 ……別に揺れてないな。


 リビングに飾ってある、謎に吊り下げられている飾り物も全く動いていない。これだけコップが分かりやすくカチカチと動いているなら、こっちの方がもっと揺れていそうなものだけど。

 ってことは地震じゃないのかな。え、でも、局所的にシンクの周りだけが揺れてるとかそんなことある?


 カチカチ、カチ、カチカチッ!


「うわっ!?」


 コップが揺れる音が激しくなって、わたしは思わず悲鳴を上げる。泡だらけの手を急いですすぎ、手を拭いたとき。


 ――パンッ!


 はじけるように、コップが割れる。

 チャリ、と、さっきまでコップだった、大きなガラス片がまだ揺れて、擦れ合って音が立つ。

 おかしい。普通じゃない。置いておいたコップが割れるなんて、ありえない。


「こ、こうづきく――」


 高月くんを呼ぼうとした、その瞬間。


 カカカカッ、ガリッ、ガガガ。


 どこかで聞いたことのあるような、もう聞かないと思っていたはずのその音が、玄関の方から、うっすらと聞こえてきた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ