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高月くんがついたのは、一階建ての平屋だった。どうやらここが高月くんの家らしい。コンパクトではあるけれど、綺麗で新しそうな家だ。
ここまで勝手についてきたけど、流石に勝手に上がるのはな……。
「あ、あのさ、高月くん。よかったら、看病……とまではいかないけど、何か手伝おうか。ほら、薬飲む水用意したりとか、ちょっと洗い物したりとか。そのくらいなら死んでてもできるよ!」
わたしがそう言うと、高月くんは少し迷う素振りを見せたものの、持っていたコンビニの袋をこちらへと差し出してきた。わたしはそれを受け取って、中を見た。
中にはゼリーやヨーグルトなど、調理なしで食べられそうなものが詰まっている。あまり重たそうなものはないけど、運べってことかな。じゃあ、看病を頼まれたと思っていいだろう。
高月くんは一人、鍵を使って扉を開けた。
「……親、いないの?」
「いたら、このじょうたいで、コンビニになど、いかぬ」
……それもそうか。高月くんの家は、普通に子供でも家の扉を開け閉めしていいんだ。
高月くんの家には、物が多かった。スタイリッシュな外観の家とは裏腹に、なんだかどこかの民族の人形やお面みたいなものばかりが飾られている。全体的に、謎の外国土産みたいなものばかりでインテリアが構成されているような気がする。
予想外のリビングに、思わず観察していると、「あのへんにくすりばこ、が、あるから、とって」と言われる。
ただでさえ鼻声でたどたどしかったのに、中二病言語もなくなってきて、高月くんはもうボロボロだ。わたしが思っているより、ヤバイかもしれない。
高月くんが指さした棚のあたりに、分かりやすく十字のマークが付けられた箱があった。あれか。
わたしだと、少し背伸びをすれば届く高さ。高月くんはわたしとそこまで背の高さが変わらないから、彼もまた、両手を上げて取らないといけないだろう。普段なら大したことのない行動でも、病気で体がだるくなっていると、何倍もしんどく感じてしまうものだ。
リビングのテーブルにコンビニの袋を置き、薬箱を取る。
コンビニの袋から、高月くんはヨーグルトとペットボトルの水を取り出している。コンビニの袋の隣に「はい、どうぞ」と薬箱を置くと、彼はのそのそと箱を開け、中から風邪薬を取り出した。
「あっちは、おばのへやだから、はいるな。ぼくのへやは、あっち。しんくのなかのあらいものだけ、しておいて」
高月くんはそういうと、そのままふらふらと、彼の部屋らしい扉の向こうへと言ってしまった。
とりあえず、わたしは薬箱を元あった場所へと戻す。
洗い物は全然いいんだけど……。
高月くんって、おばさんと住んでるんだ。




