表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日からここは事故物件  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/70

36

 まだ朝のホームルームが始まる前の時刻ではあるけど、今から支度して間に合うのかな……。


「高月くん」


 わたしが声をかけると、高月くんはぎょっとしたような顔をして、後ろに後ずさった。


「きさま、なんでここにいるんだ」


 物凄い鼻声だった。


「え、高月くん、大丈夫? 風邪ひいた?」


「さわがしいな、このくらい、なんてことはない」


 睨んでくるけど、全然気迫がない。病人特有のうるんだ目をしている。この感じだと、結構熱もあるんじゃないだろうか。

 いつもつけている眼帯がない。眼帯をつける余裕すらなかった、ってことかな。

 この様子だと、今日は休みなのだろう。


 荷物持とうか、と言おうとして、わたしは慌てて手をひっこめた。持てるけど、持っていいわけがない。

 わたしは行き場のなくなった手を後ろに回しながら、「あー、えっと」と言葉を探す。


「ここ、おばあちゃんの家の近くだったみたいで、凄い偶然だなあって思って。それで来ただけ。高月くんがいるとは思ってなかったよ。これから学校に行って、高月くんを探すつもりだったし」


 彼の後を付け回していたわけではない、ということをアピールする。幽霊になった同級生がストーカーしてるとか、別の意味で怖いよね。


「あ、おばあちゃんの家は向こうの方なんだけど、行く?」


「いかん。いったところで、きさまのいうことがしんじつか、わかるわけもない」


 そりゃそうだ。

 高月くんはため息を吐く。呆れた、という風ではなく、疲れた、という風に。


「あ、ごめん、病気なんだったよね」


「ただの、……、かぜだ」


 風邪でも、症状次第では十分にしんどいと思う。高月くんは歩き出したけど、「じゃあ今日はここでお別れだね!」と言えるほどわたしは無神経ではない。

 ついて行っても迷惑になるだけかも、と思いながらも、わたしは「大丈夫?」と彼の後ろを歩く。

 高月くんはちらりとわたしを見ただけで、それ以上何も言わなかった。


 大丈夫だから帰れ、とか言えないくらい元気がないのだろうか。えっ、結構重症じゃない?

 この間の週末に会ったときは普通に元気っぽかったけど……。

 風邪、っていうのに言い淀んでいたし、もしかして、こう、幽霊の悪い影響みたいなものを受けたりとか?

 ということは、わたしのせいだったりする……!?


「高月くん、もしかして、わたしのせいだったり……?」


「は?」


「ほら、なんか、こう、悪い幽霊に影響されて、みたいな……」


 思ったことをそのまま伝えると、「ん、んっ」と変な声を上げた。多分、鼻で笑おうとして失敗したんだと思う。


「われの、いのうは、このよにせいをうけてから、ずっとだ。いまさら、このていどで、まいるわけもない」


「……本当に?」


「くどいな」


 それ以上、高月くんは何も言わない。

 仮にそれが高月くんの気づかいの嘘だとしても、喋るのもしんどそうだし、これ以上言及するのはやめておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ