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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第三章 二人の王女と異世界探検
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エルフの祭り

「もう死ぬのは嫌なんだぞ……」

マグノリアを恨みがましく見ても、フン!と見向きもしない。恐ろしい。ルッカには悪いが、移動してくれて良かった……。


『振るよ!』


イーリンの手番、またもや執事がサイコロを転がす。プラス5万以上なら優勝だが……。

出目は『6』。景色が変わる。ルッカと同じような森の中なのだが、一つだけ違うところがある。それは、湖があることだ。


「ここは水浴場のひとつね。森の中にいくつかあるのだけれど、エルフはその湖で水浴びをしたりしているわ」


湖に近づく、エルフの女性たちの姿が見える。


その時、俺が見ていたイーリンが映る映像がブラックアウトした。


「あれ!?見えなくなったよ?」

「あー、多分男子禁制なんだぞ」


さっきフィオナが、水浴びをすると言っていた。ということは……


「この画面の向こうで―」

「なーぎ?」

「いえ、なんでもありません」


フィオナの顔が怖かった。背後に鬼が一瞬見えた気がした。


―イーリン視点からお楽しみください―


目の前に、たくさんのエルフの女の人がやってきた。綺麗な白い服を着たエルフたちが、おしゃべりしながら湖の近くまで来ると服を脱いで布を持ち、湖の中に入っていく。綺麗な金色の髪がさらりと流れる。


『イベントマス!』

『水浴びを覗いているのが見つかった!示談金を支払った!マイナス8万R!』


覗いてないのに!湖のエルフたちが「キャー!」って騒ぎながら慌てて水から上がっていく。すぐに湖には、誰もいなくなった……。


ブラックアウトしていた画面が元に戻り、イーリンの姿が映るようになった。音声は聞こえていたが、何があったのかはまるで分からない。気にしたらフィオナが怒りそうなので、気にしない。


「さて、俺か。イーリンには悪いけど……」


俺の手番。イーリンが8万失ったらしいが、安心はできない。俺はアイテムカードを天に掲げた!


『アイテムカード、集金袋を使用しました!他のプレイヤーから、3万Rを徴収します!』


『えー!』


「ルッカのお金も減ったぞ!」


ルッカも騒いでいるが、今更少し減ったところで……と考えるのは悪いかな。フィオナは特に思うところはないのか、反応は薄い。イーリンはこれでマイナス11万だ。これでまだ対等に戦えるだろう。


「ごめんね、イーリン。ゲームだから許してね」

『ぶー!』


膨れ顔を作るイーリンに謝りながら、サイコロを握る。地面に転がすと、出目は『3』。景色が変わる。


そこは、木の柵で囲われた集落のような場所だった。


「小規模な集落のようね。全部の集落を知っているわけではないけれど、規模の大小様々な集落がたくさんあるのよ」

「そうなんだ、聖王国っていうからもっと街も立派なのかなって思ってたけど」

「まあちょっと大袈裟かもしれないわね」


ふふっと笑いながらそう言うフィオナの顔は、どこか嬉しそうにも見える。


「まさか凪を案内できる日が来るなんて、思ってなかったから。私の故郷を知ってもらえるのって嬉しいわね」


綺麗な笑顔を見て、俺も笑顔で答える。俺もフィオナの故郷を見ることができて、嬉しいと感じた。


「それにしても、木の上に家があるのは不便じゃないかの?」

カルミラの疑問に俺も頷く。

「確かに、イメージ通りではあるんだけどさ」

「森ですもの、虫や動物が多いのよ。少しでも避けようと思えば必然とこうなるわ」


確かにその通りかも、と俺もカルミラも納得する。


『チャレンジマス!』

『エルフのお祭りに参加せよ!』


「お祭り?」


アナウンスと同時、夜の森へと変わる。木を組んで火をつけると、エルフたちは火の前に跪き、両手を組んで祈り始めた。


「ああやって、精霊に祈りを捧げるのよ。私たち王家に連なるエルフは、精霊魔法を使うことができるのだけれど、普通のエルフは使えないわ。けれど、精霊自体が森を守り、エルフを守ると言われ、信仰の対象となっているの」


「なるほどね、お祭りって、ああやって祈りを捧げてその後は?」

「踊りを捧げるのよ。周りに合わせて踊っておきなさい」


俺は他のエルフと混じって祈りを捧げる。精霊は見えないが、エルフを、フィオナを守ってもらえたらいいな、と思いながら祈った。


エルフたちが立ち上がったのを見て、俺も立ち上がる。火の周りをエルフたちが円を描くように取り囲む。一人のエルフが笛を吹き、その音に合わせて他のエルフが踊り出す。どんな踊りをするのかと身構えていたが、踊り始めたのはどう見ても盆踊りだ。


「これって盆踊り?にそっくりだね」

「そういえばそうね。前に行ったお祭りでは踊ってなかったけれど、動画では見たわ。確かに似ているわね」

「お祭りで踊るんだぞ?」

「そういうお祭りもあるよって話だね」

「お祭りは夜じゃから、参加しやすくて助かるのじゃ」

「お金は無いんでしょ?」


空腹で倒れていたのだ、屋台で買い物するお金なんて持ってないはずだが。俺は踊りに混じりながらも会話に参加する。


「働いて給料代わりに分けてもらったりしておったのじゃ」


苦労してるなぁ、としみじみ思っていると、音がやんで踊りが終わった。


『CLEAR!』

『エルフに溶け込みお祭りに参加した!仲間と認められた!プラス5万R!』


「やった!」


これで大分トップに近づいた。まだまだ安心はできないが、勝負の行方は分からない。ここから逆転優勝、目指すぞ!

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