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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第三章 二人の王女と異世界探検
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肉の盾、再び

「なんでルッカばっかり痛い目にあうんだぞ……?」

イジけるルッカに、かける言葉が見つからない。俺も一度死んだとはいえ、自分から崖に飛び込んだ為に特に痛みは感じなかった。途中で意識を失わなければ再起不能だった可能性が高いが。


『どんまい』


イーリンがホワイトボードを使って慰めている。ありがとうイーリン。


そこから再び、全員で来た道を戻る。途中でまたアイテムカードを補充したり使ったりしながら、はじまりの神殿を目指す。俺は回ってきた手番の時にアイテムカードを使用した。


『アイテムカード、徳政令札を使用しました!マイナス資金がゼロに戻ります!』


「よし、これでここから巻き返すぞ!」

「踏み倒しなんだぞ」

「こういうゲームでは定番だから!」


そんなやり取りをしながら、数巡かけてはじまりの神殿に向かった。相変わらずマグノリアが無茶苦茶するので、ルッカの資金がどんどん目減りしていった。


途中経過 現在地 セントラル中立区域


フィオナ 資金33万

凪 資金15万

イーリン 資金45万

ルッカ 資金12万


セントラル中立区域に全員が戻ってきた。ここからエルデリア聖王国の首都までは、一応リュクシア王国領側から回り込むルートがあるが、使うメリットはあまりないだろう。全員がまっすぐエルデリア聖王国方面へ向かうこととなった。


「もう絶望的だぞ〜……」


ルッカの悲痛な叫びが聞こえるが、俺も通った道だ。


「何か使えるアイテムがあればいいね」

「きっと逆転の道も探せばあるわ」

「まぁ絶望的であることに変わりはないがのぅ」


カルミラ以外がルッカに慰めの言葉をかけた。


『このまま優勝する!』


イーリンの圧倒的資金力の前に太刀打ちできるのだろうか。まぁやるだけやってみよう。ゴールまではおよそ19マス。資金的にも、これが最後になる可能性はある。


ルッカの手番、サイコロを転がす。出目は『4』。周囲の景色が森の中へと変わる。


「エルデリア聖王国領は基本的に森よ。見るべきところは特にないかもしれないわ」

「まぁエルフだしね」


そんなものだろうと俺は思う。概ねイメージ通りである。


『イベントマス!』

『隠れているエルフを3人見つけろ!』


「無理だと思うぞ」


覚えているだろうか。以前に、認識をずらす魔法を使って森に隠れたエルフは見つからないと、ルッカ自身が言っていたことを……。


「まぁやるだけやってみなさいよ、もしかしたら見つかるかもしれないわよ(笑)」

「見つかると思ってないよね」


口を手で押えて笑うのを堪えているフィオナ。


「いやいや、分からんぞ。物事に絶対はないからの(笑)」

「カルミラもか……」


ルッカは光のない黒目でジトーっと二人を見ていた。


『はいスタート!(笑)』


アナウンスにまで笑われるとは……。


既に隠れているのか、エルフは姿形もない。


「く、全然見つからないんだぞ!」


必死に草をかき分けて探すが、一人も見つからない。


「早くしないと失敗になるわよ〜」


ニヤニヤ顔で煽るフィオナに、ルッカがむっとした顔になる。


「分かってるんだぞ!……こうなったら」


ルッカはアイテムカードを掲げた!


『アイテムカード、コンパスを使用しました!チャレンジのヒントを表示します!』


ルッカの前にウィンドウが出現する。周囲の地図と、3人分の数字。


「座標?」


俺のつぶやきに、ルッカが目を輝かせる。


「これで見つけられるんだぞ!」


ルッカが座標を頼りに探し出す。一人、二人と見つけ、残り最後の一人となった。


「あと一人が見つからないぞ……ここのはずなんだぞ」


座標ではルッカが今立っているあたりなのだが、エルフは見つからない。


「あら?よく見るとz軸がマイナスになってるわね」


フィオナが言うと、ルッカが「あっ」と気付いたようで、ハンマーを腰から引き抜く。


「マイナスってことはつまり、下なんだぞ!」


ドゴン!と地面を殴ると、木か何かで隠されていた穴があった。その中に、エルフが隠れていた。


「やったんだぞー!」

「あーはいはい良かったわね」


喜ぶルッカに対し、何故かフィオナは楽しくなさそうな顔で祝福した。


『CLEAR!見事全員見つけることができた!プラス7万R!』


なかなかの額がプラスされた。もしかしたらイーリンの手番で終わってしまうかもしれないな……。


「嫌ですわ、ジメジメしてて最悪ですわぁ。わたくしがなぜこんな森を歩かなくてはなりませんの?」


マグノリアが嫌そうな顔で森の中に佇んでいる。


「そうだわ!こんな森燃やしてしまえばいいのですわ!名案ですわ!」

「なんて物騒なことを言い出すんだ……」


呆れて空いた口が塞がらないとはこういうことだな、と生まれて初めて思った。


そして迷いなく呪文を呟き始めるマグノリア。


「あ、そんなことしたら……」


フィオナが一瞬何かを言いかけたが、すぐに火の魔法が放たれた。大きなくす玉のような火の玉が前方へ飛んでいく。


「燃えてしまいなさーい!」


そのまま森の木へ……当たることなく、反射して返ってきた!


「森には守りの結界があるから……」


フィオナが言うが、もう既に後の祭り。


「え、ちょ、なぜなの!?マズいですわ、わたくしを守るのよ!」


ルッカを盾にしようと背後からガシッと捕まえるマグノリア。前にも見た光景だ……。悲劇は繰り返されるのだ。


「ぎゃぁぁぁ!」


2度目の肉の盾も、立派にこなしたのだった……。

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