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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第三章 二人の王女と異世界探検
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アイドル魔王

心の傷は癒えないが、状況を整理しよう。イーリンが残り9マス。そしてフィオナの使用したアイテムカードの効果で、サイコロが3つ。サイコロ運が良いイーリンなら、ゴールしてしまう可能性が高く、かつ賞金で恐らく優勝――


 「だから、このアイテムを使う!」

 俺はアイテムカードを天に掲げた!


 『アイテムカード、逆巻時計を使用しました!手番が逆順になります!』


 『ええっ!』


 ホワイトボードに驚くリアクションを書くあたり、余裕があるのだろうか。とにかく、イーリンの優勝を阻止して、次に賭けよう。


 「といことは……私ね!」


 フィオナが嬉しそうにそう言うと、サイコロが現れる。残り1マス、何をどうしてもゴールだ。フィオナがサイコロを転がす。出目は『2』。


 景色が変わり、アビスカルドの城内……に移動すると思っていたのだが、フィオナの周囲にお城感がない。というか、ドームのような……そう、実際行ったことは無いが、アイドルや歌手がステージに立つ、あのドームだ。人間なら1万人くらいは収容できそうな、明かりの付いてない暗いドームの中心に近い場所にフィオナが立っている。


 「ここはどこかしら?」

 「予想はついておるじゃろうが、間違いなく魔王城の中じゃ」


 なんとなくカルミラの顔が複雑そうに見えた気がしたが、ドームの明かりが急に光りだして、「わー!」という怒号のような歓声に思わず耳を塞ぐ。


 「な、なんだ!?」


 俺がびっくりしていると、ドームの奥のステージにスポットライトが当たる。


 「魔族は凶暴、悪逆非道、手のつけられない厄介者……そんな間違った考えを持つ人間たちに!負けない愛を!妾は歌うのだ!」


 ドーン!と爆発音がしたかと思うと、スポットライトの光だけだった奥のステージを、色とりどりの眩い光が駆け巡る。


 フリフリの付いたピンク色の可愛らしいショートドレスを身にまとった美少女。背中に羽のあるその姿はまるで天使のようだ。


 「魔王さまーー!!!」

 「今日もかわいいです魔王さまーー!」

 「うおおおお!魔王さまー!」


 どうやらアレが魔王であるらしい。


 「あの顔、見たことがあるわ……有名な魔族だって話だったけれど。魔王だったのね」

 「ルッカもあるぞ」


 どうやら魔王だとは知らなかっただけで、それなりに知名度があるらしい。ペンライトを振り回すモグラがいたり、「魔王さまLOVE!」と書かれた幕を貼っているモグラがいたり……。


 「魔族に対する悪いイメージを払拭しようと、頑張っておるぞ。いい方法なのかは知らんがの……」


 魔王がマイクのような、おそらく魔道具であろう何かを持ち、叫ぶ。


 「妾が!魔王リリス・ミュゼリカである!無事アビスカルド城に辿り着いた褒美をくれてやろう」


 『おめでとうございます!目的地です!到達した報酬として、10万Rが支払われます!副賞の授与が行われます!』


 賞金と共に、アイテムカードがフィオナに渡される。


 「せっかく妾の城まで来たのだ、舞台にあがるのだ!」

 「ええ?私が?」


 困惑するフィオナだが、魔王リリスはフィオナを舞台上に上げようと腕を引っ張る。


 「ほら、観客も待っているのだ!」


 グイグイ腕を引っ張られ、フィオナは仕方なく舞台に上がる。


 「魔族のみんな〜!今日はゲストもいるからね♪楽しく歌って踊って〜?」

 「「「大いに騒いで盛り上がれ!」」」


 魔族たちのコールに会場が揺れる。


 「私も踊るの!?」

 「当然なのだ!ゲストとして参加するのだ!」


 嫌そうなフィオナだが、逃げられないと知ると諦めた顔で一言。


 「はぁ……どうせだし、道連れよ」


 フィオナが、獲得したばかりのカードを掲げる。


 『アイテムカード、人寄の笛を使用しました!全てのプレイヤーが集合します!』


 「うわっ!」


 気付いたら、俺も舞台の上に立っていた。一緒に飛ばされたカルミラもルッカも、微妙な顔をしている。イーリンだけはいつもの線と点の真顔だ。


 「うーむ……男はいらんのだ。正面の席を開けてやるから、見ているといいのだ」

 「いらんって……」


 俺は踊らされるよりはマシかと、空いてる席へ行き座った。イーリンもやって来て『ひざの上のせて』と言うので、持ち上げて膝の上に乗せてやる。


 「それじゃあ、着替えるのだ!」


 リリスが指をパチッと鳴らすと、フィオナ、ルッカ、カルミラの服がリリスとの色違い衣装に変わった。


 「スカートが短いわ!?」

 「下がスースーするんだぞ……」


 短いスカートには慣れないようで、恥ずかしがったり不安そうにスカートの裾を手で押さえている。


 「わしは綺麗じゃし、見せびらかすのも悪くはないのう」


 カルミラだけは絶対の自信があるのか、むしろポーズを決めている。


 「ほら、音楽を流すのだ!」


 舞台に軽快な音楽が流れ、リリスが踊りだす。それを見ながら見よう見まねで続く3人。最初はぎこちなく、スカートを気にしたりしていたが、徐々に動きが揃ってくる。照れが入りながらも、動きが綺麗で美しいフィオナ。元気に体を隅々まで使って飛び跳ねるルッカ。それっぽい動きの間にセクシーポーズを挟むカルミラ。その美しい光景に、なぜカメラがないのかと悔しく思う俺だった。


途中経過


フィオナ 資金29万

凪 資金マイナス21万

イーリン 資金43万

ルッカ 資金28万

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