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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第三章 二人の王女と異世界探検
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特急券

空に、黒くて丸い穴が空いたかと思うと、ルッカがポテッと落ちてきた。


「物凄く痛かったんだぞ……」


 体中を確認し、生きている事を実感して涙を零している。実際問題死なないとはいえ、死ぬほど痛い目を見たのだからその反応もしょうがないだろう。俺は決定的な瞬間は見ずに済んだ。カルミラが目を押さえてくれたお陰だ。そうでなければ、とてもでは無いがゲームを続行できるメンタルではなくなっていたと思う。


『死亡した見舞金として、アイテムを手に入れた!』


 アイテムカードがルッカの手に渡る。


「死んだ場合の救済措置も入れておいたんだぞ。ただ死ぬだけなんて辛すぎるぞ」


 おっしゃる通りです。


「さぁ、まくっていくわよ!」


 腕を振り回しながら、サイコロを握りしめるフィオナ。丁寧に地面に転がすと、出目は『6』。


「よし、いけるわ!」


 気色満面でルンルンと体を揺らしているフィオナの周りの景色が変わる。


 そこには、小人族だけではなく、多種多様な種族が集まっているようだった。建物も通常サイズからジオラマサイズまで建っており、区画で分けられているようだ。万が一にも踏まないようにという対策なのか、通行する場所も区切られている。


「ここは交易の街、ミルステラね」


 フィオナはまじまじと辺りを見回している。交易の街ということは、誰でも来る事が出来る小人族の街という事なのだろう。


「ここでは小人族が織った布や糸、服等が取引されておる。金は欲しがらん連中じゃから、物々交換になるがの」


 奥から人間に合うサイズの服を一生懸命、たくさんの小人たちが運んでいる。そして代わりに商人だろうか、身なりのいい男が肉や魚を小さく小分けにした状態で布に包んで荷車のような物に入れている。


「あの荷車はドワーフ製なんだぞ。重さが軽減させるように出来ているんだぞ」


 肉や魚を載せたカートを、これもまたたくさんの小人さんたちが綱引きのように運んでいく。


「大変だね、小人さんたちは……」


 ほかの種族は入れない為に、あの量を別の街や都市に自分たちで運ばなければいけないのだ。


「なに、あ奴らは意外と力持ちじゃぞ。それにの、アレを見てみよ」


 1番奥の外壁に、大きな扉が付いてるのが見える。


「扉?」


「そうじゃ、見ておれ」


 扉に括り付けられた紐を引くと、扉がひとりでに開く。扉の先は本来平原のはずなのだが、何故か街が見える。


「賢者の遺物じゃ。小人の為にわざわざ残したと言われておる。それ以外の種族は通れんでな」


 小人さんたちは荷車を引きながら、扉の中へと消えていった。


『チャレンジマス!』

『小人たちと取引をしよう!悲しませると失敗!』


「これは……難題ね」


 難しい顔でそう言うフィオナだが、イマイチピンと来ないのは俺だけみたいだ。他のみんなは「頑張るんだぞ!」「悲しませるんじゃないぞ?」『ナイストレード!』とか口々に応援の声をかける。約1名はホワイトボードだが。


 フィオナの前に、小人たちが集まって綺麗な布を持ってきた。丁寧に籠の中に折って入れると、キラキラした目でフィオナの方を見る。


「く、何を出せば……」


『仕入れを選択することが出来ます』


 初めて見るメッセージが表示された。チャレンジ用の特殊メッセージだろうか。


『大量の肉→4万R 大量の魚→5万R おもちゃ→2万R』


「なるほど、仕入れて売ればいいのね……でもお金が減ると勝利が遠のくわ……おもちゃでいいわよね、遊んだ姿も可愛いでしょうし」


 ピッとおもちゃを選択すると2万Rが引かれる表示と、積み木のおもちゃが現れた。


「はい、これでお願いするわ」


 笑顔で積み木を差し出すフィオナだが、小人たちの反応は悪い。


「ごはん……」「食べられない……」「みんな飢えちゃう……」


 小人たちの目には涙が浮かんでいる。しかし断るという選択肢はないのか、悲しそうにおもちゃを荷車に仕舞おうと――


「あー待ってちょうだい!それはね、おまけなの!交換するのはこれよ!」


 慌ててフィオナが魚を選択して、5万Rと引替えにその場に出現した。


「はい、お魚よ」


 小人たちはとても嬉しそうだ。「わーい!」「新鮮なお魚だー!」「みんなでおなかいっぱい食べられるよー!」


 可愛い。すごく可愛い。小人さんたちは荷車に魚も載せると、「ありがとー!」と言って引いて行った。


「く、結局7万Rも使ってしまったわ……」


 悔しそうだが致し方ない。あんなに可愛いんだもの、チャレンジ云々関係なく悲しませるような真似は少なくとも俺には出来ない。


『CLEAR!小人たちの笑顔は守られた!プラス7万R!』


「プラマイゼロじゃないの!」


 最初から妥協していなければ、と、後悔するフィオナだった。


「次は俺だね」


 サイコロを転がす。出目は『1』。


「ダメかー」


 目の前が草原に切り替わる。草原の中に、ポツンと木の柵で覆われた場所がある。俺が覗いてみると、その柵の中に小人たちがいた。お昼寝しているようだ。


『イベントマス!』

『小人たちのお昼寝を目撃した!視線に気付いて目を覚ました小人たちが泣き出してしまった!迷惑料として1万Rを支払った!』


「お金が全然増えない!」


 お金が減って現在12万R。目標50万までいけるのか?ルッカなんて今8万だし。


 ボヤいている間にイーリンの手番だ。


 イーリンはカードを空に掲げた!


『アイテムカード、レンタル馬車を使用しました!3万Rを支払ってサイコロが3つに増えます!』


 説明通り、3万Rが表示から消えると同時に、サイコロが3つ出てくる。サイコロを振るイーリン、出目は6、5、6で合計なんと『17』!


「凄いけど1マス超えちゃうね」


「このゲームは目的地に到着した段階で目が余っててもゴール扱いなんだぞ」


 そうなの!?と驚く俺だが、そもそもこのゲーム、〇鉄のようで違うゲームなのだ。勝手に同じように考えていた事実に気付く。イーリンが目的地、ミルヴァン小王国に到着した。


 場所が王城に変わり……ジオラマサイズなのでイーリンは中庭にいる。


『おめでとうございます!目的地です!到達した賞金として、10万Rが支払われます!副賞の授与が行われます!』


 副賞?と首を傾げていると、『おうさま』と書かれたタスキを掛けた小人がイーリンの前に現れた。


「えー、おめでとうござい、じゃなくて……おめでとう!副賞であーる!」


『男爵の称号が陞爵!子爵になった!』


「えーと、関係ないんだよね?」


「無い……はずだぞ?」


 イーリンは子爵になった。そして最初の目的地、ミルヴァン小王国の王都にたどり着いたのはイーリンだった。

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