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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第三章 二人の王女と異世界探検
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広がる世界

視界が開けた。辺りを見渡すと、そこは厳かな雰囲気の神殿であるらしかった。色鮮やかなステンドグラスが壁にはめられ、降り注ぐ光によって床に様々な模様が描かれている。正面には立派な彫刻が鎮座している。ゆったりとした布を羽織り、祈る仕草をしている美しい女性の像。祀られている神様であろうか。


「ここは……」


 さっきまでは自分の家にいたはずだ。それなのにルッカがゲームを起動した瞬間意識が途切れ、気付いたらここにいた。理解が及ばず、頭が混乱する。


「成功なんだぞ!」


 背後から聞こえた声に振り返って酷く安堵した。そこにはルッカとフィオナが立っていた。ルッカは嬉しそうに、フィオナは狼狽えた様子で辺りを見渡している。


「ここって、まさか……」


「セントラル中立区域の、はじまりの神殿だぞ」


 心当たりはあったが、まさか信じられないという様子であったフィオナに、ルッカがその通りだという答えを返した。つまりここは……


「もしかして、2人がいた世界?」


「その通りなんだぞ」


 まさか、ゲームとはいえ2人のいた異世界に来られるなぞ、想像もしていなかった。少し感動してしまう。


「よくもまぁこんな大掛かりな」


 フィオナは呆れた様子で、だが久しぶりの光景に郷愁もあるのか、複雑な表情になっている。


「最終調整に、カルミラも手伝ってくれたんだぞ。お陰で、かなりリアルに作り込む事が出来たぞ!」


 いつの間にそんな事になっていたんだろうか。その時、意識が落ちる前に見た2つの姿を思い出す。ひとつは……


「呼んだかのう」


「うわっ」


 いつの間にか空中を漂っていたカルミラ。チラッと視界に捉えた黒い何かは、間違いなくカルミラであったのだろう。とすると、イーリンもどこかにいるはずだ。


「こいつか?探しておるのは」


 カルミラがイーリンを抱いている。何やらもがいている様子だが、そんなに嫌なのだろうか。初対面から喧嘩を売っていたし。


「とにかく、ゲームの説明をするんだぞ。まず、このゲームは冒険者となってマス移動して行動する事になるんだぞ。移動はターン制でサイコロを振りながら進むんだぞ。各マスにはイベントマス、チャレンジマスがあるぞ、それらをこなしてお金を稼ぐんだぞ!目標の金額まで最初に到達した人が優勝なんだぞ!」


 要は〇鉄みたいなものかと理解する。


「ちなみにわしは参加せんからの。協力者としてバックアップをしてやろう」


「バックアップ?」


 ぷかぷか浮きながら喋るカルミラに聞き返す。


「お主はこの世界の事を知らぬであろう?サポートじゃ」


 なるほど、と頷く。確かに、このゲームは元々住んでいたフィオナとルッカの方が有利な内容が含まれている可能性はある。


「一応、視界の右端に三角のマークがあるんだぞ?そこを指でタッチするとメニューが出てくるぞ。この世界の地図に、移動するマスがマップとして表示されるんだぞ。あと所持金を見れたり、持ち物が一覧で出るぞ」


 それは便利だな、と三角のマークを押してみる。すると目の前の空間に地図が表示される。地図上には、無数に枝分かれしたマスとマスを繋ぐ線。これがマップだろう。持ち物の欄は当然空欄だ。所持金の欄には、10万Rとの表示がある。


「10万Rって?」


「世界共通通貨だぞ。お金がイベントで減ったりする事もあるんだぞ、保険だぞ」


 確かにいきなりお金が減るイベントだと、即ゲームオーバーになってしまう。その保険のお金のようだ。


「Rはリン、つまり10万リンね。どこを見ても地獄しかなかった種族同士での戦争を止める為に尽力した賢者の名前から付けられた、どの種族の村でも使える通貨よ」


 流石は賢者様だと感心してしまう。そのままゲームの説明は続く。


「マス移動した時に、離れたプレイヤーとはワイプで繋がるんだぞ、いつでも会話可能なんだぞ。目的地が設定されていて、そこに最初に到達したプレイヤーには賞金が出るぞ。ルートによってはお金の減少しやすいルートもあるからよく考えて移動するんだぞ」


 目的地を目指して進みながら、お金を集めていく。本当に〇鉄みたいだな。


「ちなみに、目的地に誰かが到着した時点で1番離れているプレイヤーにはペナルティがあるんだぞ。マス移動する時に、人族の国リュクシア王国の第1王女、マグノリアが付いてくるぞ。金使いが荒いマグノリアが、毎ターンお金を勝手に消費してしまうぞ」


 貧乏神までいるのか、かなり〇鉄への理解度が高い。やり込んだのだろうか。


「わしがついでに観光案内もしてやろう。まずはここ、セントラル神殿じゃ。はじまりの神殿とも言われておるな。ここはこの世界が誕生した際に、最初に神によって創られた場所と言われておる。各種族の王族が王位を継いだ時に祈りを捧げる神殿じゃ。一般人の立ち入りは一切認められていない。各種族の不可侵領域じゃ」


 ここが世界の中心で、はじまりの大地であるらしい。


「まぁやってみれば自ずと分かるんだぞ。サイコロを振って順番を決めるんだぞ」


 カルミラ以外の各々がサイコロを振り、順番が決定する。


 フィオナ→俺→イーリン→ルッカとなった。イーリンも参加するらしい。


「ちなみにリアルに作りすぎたせいで、死にはしないけど怪我したら普通に痛いんだぞ。気をつけるんだぞ」


 俺は無事にゲームが終わる事を真剣に神様の像に祈った。

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