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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第三章 二人の王女と異世界探検
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飛び込めゲームへ

フィオナが調子を崩してお休みした翌日。俺は目を覚ましてフィオナの様子を見に行く。


「フィオナ、大丈夫?起きられる?」


 扉越しに、軽くノックをしながら声をかける。結局昨日は部屋から出てこず、ルッカと2人で晩ご飯を食べた。きっとフィオナはお腹を空かせているだろう。


「おはよう、大丈夫よ。すぐ起きるわ」


 良かった、大丈夫そうだ。返事があった事に安堵の息をつく。


「ゆっくりでいいよ、朝ごはんは用意しておくから」


「悪いわね、心配かけて」


 短いやり取りだったが、この会話だけで少し心が軽くなった。昨日姿が見えなかったのが予想以上に堪えたらしいと、自分でも驚く。


 ダイニングに行き、簡単な朝食を用意する。食パンにサラダ、あとウィンナーを焼いておく。机に並べていると、フィオナが部屋から出てくる。


「昨日はごめんなさい、すっかり寝ちゃってたみたい」


「全然いいよ、疲れた時はゆっくり休んで無理しないでね」


 顔は笑っているのだが、目が笑っていないように見えて相当疲れているのかな、と少し心配になる。


「大丈夫だから、本当に気にしないでちょうだい」


 こういう時、なんて声をかけるのが正解か分からずに少し悩んでいると、ルッカの部屋から大声で叫ぶ声が響く。


「出来たんだぞ!」


 声がしたかと思うと、扉がバン!と開いてルッカがダイニングに出てきた。目の下のすごいクマを見る限り、夜通し作業をしていたのだろう。深夜テンションとでもいうのか、普段より3割増しくらいのハイテンションぶりだ。


「お、おはようルッカ。寝てないの?」


 少したじろぎながらも心配する俺の肩をブンブン揺さぶりながら、血走った目を向けてくるルッカはなんというか、怖い。


「寝てる場合じゃないぞ!ついに完成したんだぞ!」


 あまりの迫力と揺さぶられる衝撃でなにも言葉が出ない。


「ちょっとルッカ、そんなに揺さぶったら何も返事が出来ないわ」


 フィオナが呆れたように口を挟み、なんとかルッカを落ち着かせる。3人で席に着き、そのまま朝ごはんを一緒に食べることになった。


「それで、何ができたの?」


 食べながらルッカに話を振る。よく聞いてくれました、と言わんばかりに勢いよく喋りだした。


「皆で遊べるゲームだぞ!春からずっと作ってたんだぞ!」


 この世界に来てすぐに作り始めたらしいゲームが、完成したらしい。話を聞くと、最初にゲームを直した時に閃いたらしいが、製作には魔法を使っているらしく、中々進まなかったようだ。


「食べ終わったらすぐに遊ぶんだぞ!」


 ギョロっとした目が血走っているのを見て、ため息をつく。


「とりあえず、ゲームで遊ぶ前に1回寝てきなさい」


 そう言うと、ルッカは「えー!」と不満の声を漏らすが、ダメなものはダメなのである。


「ルッカあなたね、目が充血して酷い事になってるわよ」


 フィオナに言われてダイニングの姿見を見に行くルッカ。自分の状況に少し驚いているように感じる。


「嫌なら、ゲームで遊ぶのは無し!少しでいいから寝てくること!」


 渋々といった様子で、食後に部屋に戻って行った。


「徹夜してまでゲームを作るなんて、よっぽど遊びたかったのかな」


 フィオナは内心、昨日の今日なので元気づけてくれるつもりだったのかしら、とルッカの心遣いに感謝していた。


 寝に戻ったルッカが部屋から出てきたのは、昼過ぎになってからだった。


「で、これがそのゲーム機?」


 目の前にあるのは、どうみてもファ〇コンだ。懐かしい気分になる。


「ガワは流用したんだぞ。中身は全部1度分解して、部品一つ一つに魔法を付与しているんだぞ」


「それは大変だったでしょう、ただでさえ魔力の回復に時間が掛かるのに」


 前に言っていたことを思い出す。体が作り出す微量の魔素を魔力に変換していると言っていた。気の遠くなる作業を数ヶ月かけて行ったルッカの努力を、俺は素直に賞賛した。


「ルッカは凄いね」


「それほどでもあるんだぞ!」


 ご機嫌なルッカの頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。


「それで、どんなゲームなの?」


「それはやってみてのお楽しみなんだぞ」


 直前まで内容は秘密らしい。まぁそれは良いだろう。フィオナも少しではあるが目に力が戻ったような気がする。ルッカに感謝だな、と心の中で思う。


「じゃあ早速、起動するんだぞ」


 そう言ってスイッチをオンにする。


 すると、視界が歪んだ。


 空間がねじ曲がるかのように、ぐるぐると回る世界。足元の感覚が消え、身体が引きずり込まれるような奇妙な浮遊感に包まれる。


 その視界の隅に、微かにイーリンの姿と、黒い何かが現れるのを捉えたが、何かを認識するよりも先に意識が遠のいていく。


 音も、光も、全てが途切れるように。


 すぐに意識がブラックアウトした。

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