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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 二人の王女は現代に適応する
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将来的には

俺が帰宅すると、何やら疲れた様子のフィオナが肩で息をしながらソファーに突っ伏していた。片腕はソファーから落ちて、だらんと垂れ下がっている。


「珍しいね、フィオナが電池切れになってる」


横でスマホを触っていたルッカが、画面から視線をこちらに向けて答える。


「今日はたくさん手伝ってもらったんだぞ。出品とか発送とか、溜まってたから助かったんだぞ」


なるほどと思っていると、フィオナがよろよろと起き上がった。


「情けない格好でごめんなさい……でも、ルッカは溜めすぎよ。少しづつやればあそこまでたまらないでしょう?発送する品物の中で、一番古いものだと購入が完了したのが一週間前なのよ!?設定した発送期間からしてギリギリだったわ!」


喋るたびに語気が強くなっていくフィオナ。


「確かに、あんまり発送が遅いと評価低くなるよ?できるだけギリギリにならないように気をつけた方がいいね」


「これからは大丈夫なんだぞ。全部フィオナがやってくれるんだぞ」


ルッカはあまり反省していないのか、全てをフィオナに丸投げするつもりらしい。まぁフィオナも何か出来ることがあった方が落ち着くかな、と心の中で応援する。


「じゃあフィオナにお願いして、こまめに発送してもらうようにね」


ルッカは元気に「分かったんだぞ!」と返事をした。


「ところでお疲れの様子だけど、ご飯どうする?今日は出前にしちゃおうか」


最初は普通に聞こうかと思ったが、表情があまり良くないなと気付いて出前を取る方向にシフトする。


「悪いわね……」


フィオナはそれだけ言うと、再びソファーに突っ伏してしまった。


「そんなに沢山溜めてたの?」


「は、箱ひとつ分くらいなんだぞ」


「へー、どれくらいの箱?」


「それだぞ」


ルッカがフィオナの横にあるダンボールの箱を指さす。


「そこそこ大きいね。これに出品するものと発送するものが入ってたの?」


「……それぞれ同じ箱で一箱分づつなんだぞ」


最後はどんどん小声になっていった。


「その修理してる家電とかゲーム機ってさ、どこで手に入れてるの?」


ふと気になって聞いてみる。


「最初は捨てられていたのを拾ってきたんだぞ。ゴミ捨て場を回ってたら、意外と捨ててあったんだぞ。途中からお店に行ってジャンク品を買ったりもしてるんだぞ」


なるほどと思いながらも、ゴミを勝手に拾うのはダメなのでは?と思い至り、もう拾っちゃダメだよと軽く注意だけしておく。


「まぁ、役割分担が出来るっていうならそれに越したことはないんじゃない?フィオナが手伝ってくれるなら安心だね」


そう言いながら、晩御飯は何にしようかと出前サイトを開く。


「今日はピザが配送料無料で半額だって。せっかくだからピザにしようか」


「やったんだぞ!」


ルッカが嬉しそうに笑って喜ぶ。実は前々からピザを食べてみたいとは言われていたのだが、フィオナが「太るし私が作るから必要ないわ」と切り捨てていた。


「フィオナもそれでいい?いっぱい働いたなら、ピザを食べてもきっと大丈夫だよ」


まるで悪魔の囁きのような言葉だなと、自分の言葉に苦笑いしてしまう。


「……できるだけ野菜が多いピザを」


フィオナも興味自体はあったのか、顔を伏せたまま小さめの声でそう言った。


少しするとインターホンが鳴る。ピザが届いたようなので受け取りに行くと、ルッカが手早く机の上をテーブル用の布巾で拭いてくれていたので、そのまま並べていく。復活したフィオナも揃って三人でテーブルにつく。


「それじゃあ、いただきます」


ピザの味に感動しているルッカと、ピザを食べながら罪の意識と戦っているフィオナを見ながら、俺も一切れ取って口に運ぶ。久しぶりのピザの味は、前に一人で食べた時よりも美味しく感じたのは企業努力なのだろうか、それとも一緒に食べる人の違いだろうか。以前とは違う、賑やかになった食卓を囲みながらそんな事を考えていた。


「手伝いをさせてもらうのは私としては有難いのだけれど……あくまで手伝いだし、自分でできることを探して、出来れば収入を得たいわ」


食べている手を一度止めてフィオナが言う。


「いまは見つからなくても、そのうち見つかるよ。焦る必要なんて全くないからね」


俺の言葉でフィオナは少し安心したのか、表情が柔らかくなった。


「そうなんだぞ。それまではフィオナの分もルッカが稼いでやるんだぞ」


一気に複雑な表情になるフィオナに、頑張れと心の中で呟いた。

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