フィオナのお手伝い
凪が仕事に出かけた朝、家の掃除をしながらフィオナは考えていた。
「美味しく育てた作物を食べてもらって、できたら販売まで出来れば収入にって考えていたのだけれど……」
結局そのどちらも実現する事はできなかった。何か他に出来る事はないだろうかと色々考えるが、これというものが思いつかない。
「どうしたんだぞ?」
掃除をしながら唸っているフィオナを見かねて、テレビでゲームをしていたルッカが声を掛ける。
「結局作物は収穫できなかったから……他に何か出来る事はないかと考えていたのよ」
なるほど、とルッカも少し頭を捻って考える。
「それなら、ルッカの仕事を手伝うんだぞ」
その言葉に、フィオナは「え?」と聞き返した。
「手伝うと言っても……修理を私は手伝えないわよ?」
手先は人並み、ルッカと比べると天と地ほどの差がある。そもそも手伝ったところで足を引っ張るだけだとフィオナは思う。
「修理はルッカがするんだぞ。フィオナは出品と発送をしてくれればいいんだぞ」
修理はともかく、出品と発送がめんどくさいんだぞ、とルッカは笑いながら言った。
「それでいいなら手伝わせてもらうけれど……」
ルッカは嬉しそうに笑う。
「助かるんだぞ。これで修理に専念できるんだぞ」
ルッカは足取り軽く、発送するものと出品するものをまとめる為にゲームを一度消して部屋に戻った。掃除の続きをしようと掃除機のスイッチに指を掛けると、裾が引っ張られている事に気付く。
「あら?インリーじゃない」
裾を引っ張っていたのはインリーだった。裾を引っ張りながら、ベランダの方を手で指している。
「ああ、水やりの時間ね」
あれからインリーは、水やりの時間になると教えてくれるようになった。じょうろに水を入れてインリーに渡すと、インリーはじょうろを器用に受け取りベランダへ出ていく。その後ろをフィオナがついていくと、インリーが自分で他の作物たちに水をあげ始めた。
「不思議な生き物ね……生き物かしら」
そんな事を呟いていると、インリーが作物たちに水をあげ終わったらしく、じょうろを返そうとこちらに押し付けてくる。フィオナがそれを受け取ると、インリーは自分のプランターに入り、足から土に埋まっていった。完全に埋まるとフィオナが水をあげていくと、インリーが嬉しそうに頭の葉を揺らす。その光景に少し頬が緩んでいると、ダイニングの方からルッカの声が聞こえた気がして、フィオナはダイニングに戻った。
「こっちが出品する箱で、こっちが発送する箱なんだぞ」
出品する箱の中には布で包まれた沢山の小型家電が入り、発送する箱には更に布に包まれた物に発送伝票が輪ゴムで括り付けられている。
「け、結構な量ね……」
「ほくほくなんだぞ」
少し引くフィオナに、にこにこと答えるルッカ。実は最近は食費だけではなく、生活費として少し凪に渡している。最初はいらないよと渋った凪だったが、「結構儲かってるんだぞ」と半分無理やり押し付けたのだ。
「包む用にプチプチとか緩衝材とかも買って置いてるんだぞ。好きに使って欲しいんだぞ」
一度受け取ってフィオナは自分の部屋に運び、今度はルッカの部屋に梱包資材を貰いに行く。フィオナは途中だった掃除を最後まで終わらせると、早速作業を始めた。先に発送するものを梱包して宅配センターに持っていき、全ての発送が済むと今度は出品するものを綺麗に見えるよう角度を考えて写真に撮っていく。量が量だったので、全ての作業が終わる頃には夕方になっていた。




