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異世界の王女は現代で異世界の夢を見るか  作者: うあこ
第一章 二人の王女は現代に適応する
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新しい同居人?

すいません遅れました

買ってきたデパ地下の惣菜を、温めては机に並べていく。その間、フィオナがじゃれついてくる大根と遊んであげていたり、ルッカはその光景を楽しそうに見ながらワクワクした表情でご飯を待っていた。


「何か食べたりするのかな」


料理を並べながら、なんとなしに俺は呟いた。


「食べないんじゃないかしら。水と光が植物のご飯よね?」


そう言いながらフィオナが大根を見ると、縦にこくこくと頷いている。フィオナは大根の頭を撫でているし、ルッカも「やっぱりそうなんだぞ?」と納得しているが、そもそも意思の疎通が出来ているところに俺は驚いた。


「言ってることが分かってるみたいだね、賢いね」


「そう言えばそうね。なかなか珍しい変質の仕方よね」


今気付いたといわんばかりのフィオナの言葉に、少しずっこけそうになった。異世界では普通なのかと思ったが、そうではないらしい。


料理を並べ終わり、三人でテーブルを挟んで向かい合う。


「じゃあ、食べようか」


三人でいただきますと言ってから食べ始める。


「肉寿司はやっぱり美味いんだぞ!」


満足そうにルッカが食べている。俺も一口食べると、赤身の旨みと脂の甘さを感じる。とても美味しい。


「これは本当に美味しいね。フィオナも食べてみて」


いつも通りサラダから攻めるフィオナに、肉寿司を勧めてみる。


「それじゃあ1ついただこうかしら」


そう言ってフィオナが肉寿司を1つ摘んで口に入れる。食べられない訳ではないが肉より野菜派だというフィオナにとっても、美味しく感じたらしい。満面の笑みである。


「すごく美味しいわ!こんなに美味しいお肉は初めて食べたわ!サラダも味が複雑で、食べた事のある種類でも味が全然違って美味しいし、まさに今日はご馳走ね」


フィオナの言葉に、俺とルッカはニィっと笑う。


「今日はね」「特別な日なんだぞ!」


俺の言葉に、ルッカが被せるようにそう言った。


「特別な日……」


フィオナは今日のことを振り返る。今まで育ててきた作物が、いざ収穫しようとすると魔力で変質していて、凪とルッカに振る舞うことが出来なくなった。失敗して悲しくて、でも最後にはこうしてちょっと贅沢な料理を三人で食べるだけで、とても楽しくて幸せな気持ちになれる。そんな特別な日にしてくれた二人に、フィオナは心の底から感謝した。その横で、大根はコップからストローで水を飲んでいた。


食事を終え、テーブルの上を片付けていると、フィオナが大根を見ながら言う。


「これからどうしようかしら……まさか作物たちを処分するわけにもいきませんし……」


大根はビクッ!と一瞬動きを止めた後、小刻みにブルブル震えだす。動き出して愛嬌のある作物たち。大根にいたっては意思があるようにまで見えるのだ。精神的に処分はしづらいものがある。


「ベランダで育てればいいんだぞ」


ルッカは名案だと言いたげな顔で言う。


「そうね……そうするしかないわよね」


フィオナの言葉に、大根は安心したのか震えが止まり、手で胸を押えてほっと息を吐いている……ように見える。なんとも人間くさい大根だなと俺は思った。


「それじゃあこの子は、マンダイちゃんね」


「えー?もっと可愛い名前がいいんだぞ」


二人は大根に名前を付けるらしい。


「マンダイちゃん?」


「マンドラゴラのような大根だからマンダイちゃんよ。ダメかしら」


俺の質問に、フィオナがそう教えてくれる。なるほどとは思うが、なんだか怒られそうな気がしたので急いでいい名前はないかと考える。その時、ふと頭の中に思い浮かんだのは、ネットで見かけたセクシーな大根。M字開脚しているように見えるその大根を思い浮かべ……


「インリ……いや、インリーちゃんだ!どうかな。マンドラゴラの大根だからって安直かなと思ってさ。エルフにあなたはエルフだから、エルよ!って言われても微妙じゃないかなって」


少し早口で喋ってしまったが、「そ、そうね……」「それもそうなんだぞ」と納得してくれた。「インリー」とフィオナに名前を呼ばれると、大根は嬉しそうに頭を左右に揺らした。

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