第9話 アポカリプス・ドラゴン
我はツヨ・ギール……
強すぎるドラゴンだ……
総ステータスは8510兆9474億……
並の者は我が近くにいるだけでガタガタと震え、立ってもいられないだろう……
【説明しよう!
総ステータスとは!
HP!
MP!
攻撃力!
防御力!
魔力!
敏捷!
運!
この基本ステータスの合計値のことである!
人間最強Sランク冒険者の総ステータスは約1億!
一般的な神の総ステータスは!
平均で約7000兆なのである!
となると!
ツヨ・ギールの総ステータス8510兆9474億は!
神すら恐れる強すぎる存在なのである!】
人間は強すぎる我を『アポカリプス・ドラゴン』なんて呼んでいるらしいが……
もっとかっこいい名前あるだろ……
『混沌大帝』とか……
『終焉の化身』とか……
『混沌大帝★終焉の化身』とか……
そんな強すぎる我は今、ダンジョンの最奥に住んでいる……
広いし……
邪魔者はいないし……
Wi-Fi通したし……
我が『子供に付けたいかっこいい名前ランキング』を考えていると、部屋の入り口付近で何かが爆発したようだった。
『バコーーーーーーーーーン!!』
なんだ……!?
ここはダンジョン最奥の100階層……
まだ64階層までしか攻略されていないはずだが……
新たな『ユウシャ』か……?
まあいい……
そろそろ退屈していた……
強すぎる我が軽く遊んでやろう……
爆発で起きた土煙が収まると、そこにはボロボロのメガネをかけた少年が気絶していた。
どうしてこんな子供が……
「どんな方法であれ、ここまで来たことは褒めてやろう……」
我はメガネの少年にスキル《龍の加護》を与え、転送魔法でダンジョン入り口へ帰した。
遊ぶつもりが……とんだ肩透かしを食らったな……
久々にシヴァあたりにでも、ちょっかいかけてくるか……
数百年ぶりに神魔大戦を始めようとしていたそのとき――
突如、悪寒が走る。
この気配は……シヴァ……?
いや違う……
ただ……今すぐここを去れと……そう本能が告げている……
そして、いつの間にか開いていた穴から、人間の少女が顔を出した。
◇
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
今日は学校の実習でダンジョンに来たんだけど……ヘンリーくんが急にどこか行っちゃって探してるんだ!
詳しくは『第8話』を見てね!
ヘンリーくんいつもクールだけど、わんぱくなとこもあるんだなー!
ヘンリーくんが掘ったっぽい穴の中を進むと、ダンジョンのどこかの部屋に繋がっていた。
もしかして……お宝の部屋!?
部屋を覗いてみると……あっ!
トカゲさんの魔物だ!
「こんにちはー!」
「お前は誰だ……我になんの用だ……」
「コムギーノ・カホです!
ヘンリーくんを探しに来ました!
メガネの男の子!」
「ああ……あやつは我が帰した……」
トカゲさんが送ってくれたんだ!
いいなー!
ヘンリーくん、トカゲさんの背中に乗ったのかなー!
「お前も帰るのだ……」
「じゃあ、私も背中に乗せてくださーい!」
「キサマ……我が大人しくしておれば……つけ上がりおって……
たかが人間……我の強すぎる力を見るがいい……!」
え!?
何か見せてくれるの!?
『ゴォォォォォォォーーーーーー!!』
わー!
きれーい!
トカゲさんは口から火が出る手品を見せたかったみたい!
「え……キサマ、なんともないのか?」
なんとも?
感想言ってほしいのかな?
「きれいだったよ!
トカゲさんすごーい!」
「強すぎる我が……トカゲさん……だと……!」
【説明しよう!
ツヨ・ギールは『トカゲ』と言われて完全にキレてしまったのである!
もうダンジョンもろとも消し飛ばしてしまう勢いなのである!】
「強すぎる我の前から消えるがいい……!」
ツヨ・ギールの口内が激しく輝く。
「ウルァァァーーーーー!!」
その瞬間、
ダンジョンは消え、
ツヨ・ギールの前方1000kmは焼け野原となった。
「たかが人間1人に……さすがにやりすぎたか……?」
「すごーい!」
すっごい花火!
こんなの初めて見たー!
「……え……あの……直撃でしたよね……?」
直撃?
……!
打ち上げ場所が近すぎて心配してくれてるのか!
危ないもんね!
「大丈夫だよ!
ちょっとだけ熱かったくらい!」
「あ……そうなんですね……
あっ、友達から電話だ!
すぐ行かなきゃ!」
トカゲさんはそう言って急いでどこかに飛んでいった。
乗りたかったのにー!
「コ……コムギーノ・カホさん……!」
先生の声に振り向くと……あれ?
みんなガタガタ震えて座ってる?
よく見たら外にいるし……ダンジョンは?
みんなからすごい見られてるし!
「えっ!?」
「もしかして私、またやっちゃったー!?」
【その後、ツヨ・ギールはシヴァに連絡を取り、謎の少女について情報交換をした。
後日、飲み屋で待ち合わせ、朝まで謎の少女について語り合ったようだ。】




