第5話 剣術訓練
どかーーーーーーん!
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!
詳しくは第1話を見てね!
【説明しよう!
ここ、チコク魔法学校は――
天才魔法使い!
握手15時間待ちアイドル魔法少女!
登録者700万人の炎上中魔法系インフルエンサー!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】
今日は剣術訓練の日!
でも、なんで魔法学校なのに剣術なんだろう?
「魔法使いなのに、なんで剣術訓練するんですかー?」
あっ、誰かが聞いてくれた!
「いい質問ですね。
では、もし魔法を詠唱している最中に敵が急接近してきたら、どうしますか?」
「えっ!
そ、それは……仲間に守ってもらう……?」
「もちろん、パーティを組んで役割分担をしておくことは大切です。
ですが、実戦ではその役割が思うように機能するとは限りません。
不意打ちもありますし、自分の身は自分で守れるようにしておいた方がいいでしょう」
あっ、たしかにそうかも!
そういえば、魔法使いだったお母さんも――
◇
「包丁って使いづらいわね……」
……。
「やっぱり……“コレ”じゃないと」
お母さんはそう言うと、腰に差していた短剣をスッと抜いた。
ズババババッ!!
「あー……思い出すわぁ……ふふふ……」
◇
……って、いつもお気に入りの剣を使いこなしてたなー!
ニコニコしながら剣をペロッと舐めてたし、きっと、大事なものだったんだろうな!
「それに、魔法使いの上級職には『魔法剣士』というものもあります。
……ヘンリーくん」
「はい」
「《ウォータースラッシュ》!」
ヘンリーくんが木剣を振ると、水の刃が訓練用の木人形を切り裂いた。
「「「おー!!」」」
訓練場に歓声が上がる。
「さすがですね、ヘンリーくん」
「いえいえ、今日は水の加護が強い日でしたから」
メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。
「すげー威力!」
「俺……初めて見たよ!」
「我が校の卒業生であり、魔法剣士でもある、Aランク冒険者『1人パーティのトモ・イナイ』とは今でも交流があります。
皆さんの頑張り次第では、特別講師としてお招きできるかもしれません」
「「「えーー!!」」」
「トモ・イナイって、ここの卒業生だったのかよ!」
「あの『前衛? 後衛? 必要ない!』って決め台詞、言ってみてー!」
「サインほしー!」
先生は満足そうに頷いた。
「とはいえ、いきなり魔法剣を使えるようになる必要はありません。
まずは自由に木剣を振って、剣に慣れるところから始めましょう」
「「「はーい!」」」
生徒たちは一斉に訓練用の木人形へ向かい、それぞれ木剣を振り始めた。
私もやるぞ!
木人形の前に立ち、木剣を構え、
「えいっ!」
ボッ
ズガンッ!!
……あれ?
振り下ろしたはずの木剣がない。
「コムギーノ・カホさん!
木人形には魔法ではなく、剣で攻撃してください!」
「え?」
魔法使ってないよ?
先生に言われて木人形を見る。
さっきまでそこにあった木人形は、土台だけを残して消えていた。
【説明しよう!
カホは木剣を速く振りすぎたため!
空気との摩擦で木剣が燃え尽き!
その一振りで発生した真空波が――
木人形を消し飛ばしたのである!】
しまったー!
つい魔法撃っちゃってたんだ!
うっかり!
私は急いで木剣を取りに行く。
今度こそ!
「えいっ!」
ボッ
ズガンッ!!
「コムギーノ・カホさん!!」
「ごめんなさーい!」
あれ?
よく見たら剣が燃え尽きてる。
燃えやすい素材なのかな?
……もしかしてさっきも!?
……。
あっ、そういえば!
1人パーティのトモ・イナイさんの必殺剣――
《アブソリュート・ゼロ・ハート》!
あんな感じで剣を冷やしたら、燃えなくなるかも!?
よーし!
「《フリーズ》!」
木剣を中心に、あたり一面が凍りついた。
これでよし!
「えいっ!」
ひゅっ!
すぱっ
木人形は真っ二つになった。
「やったー!
見て見て、先生ー!
……ってあれ?」
先生も……みんなも!
なんで凍ってるの!?
「もしかして私、またやっちゃったー!?」
【その頃。
カホの放った真空波は地球を飛び出し、数多の惑星を切り刻んでいた。】




