第48話 回復術師
カラオケ行くのもアリだったなー!
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!
詳しくは第1話を見てね!
でも第3話を見たほうがわかるって意見もあるよ!
【説明しよう!
チコク魔法学校とは――
天才魔法使い!
魔法100m走世界記録保持者(0.99秒)!
登録者2317万人のダンジョン配信系インフルエンサー!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】
ヘンリーくん、モーブくんと一緒にダンジョンに来てるよ!
ナナーシーちゃんも誘ったんだけど……。
『このあと3年の『カオ・ヨイ』センパイたちに誘われてカラオケなんだー♪』
ってことで今日は3人パーティなんだ!
「このダンジョンは罠が多いみたいなので、注意して進みましょう」
ここは『罠の城塞』と言われるほど罠だらけのダンジョンらしいよ!
ヘンリーくんの言うとおり、気をつけなきゃ!
……といっても、先頭を歩くヘンリーくんの探知魔法のおかげで、罠はすべて回避できてるんだけどね!
私たちは順調に罠を避け、魔物も倒しながら歩いていると、中間セーブポイントが見えてきた。
「僕の魔力も残り少ないですし、ドロップアイテムの整理とリフレッシュも兼ねて、あそこで一旦休憩しましょう」
「だな!
そろそろ腹減ってきたし……お先にー!」
モーブくんは食い意地張ってるなー!
なんて思っていたとき――
「モーブくん、いけない!
そこには……!」
引き止めるヘンリーくんの声を無視して走っていったモーブくんが……。
バナナの皮トラップに掛かって転んでしまった!
「あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!」
大変!
モーブくんが『押すと鳴くニワトリのおもちゃ』みたいな声出してる!
派手にコケて、あちこち擦りむいて血だらけだ!
「大丈夫ですか!?
今、回復を!
……しまった、こんなときに魔力が……!」
ヘンリーくんは治療できないみたい……。
いつも治療はナナーシーちゃんが担当してるし、こんな日に限っていないなんて。
……よし!
「……私にまかせて!」
「カホさん!
……お願いします!」
私、実は治療が得意なんだよね!
昔、よくケガしてたお父さん、お母さんを治療してたなー!
◇
「カホ! やめなさい!」
「家の中で魔法は……きゃあ!」
バコーーーーーーーーーーーン!
「お父さん、お母さん大丈夫ー!?」
「もしかして私、またやっちゃった?」
「今治療するからね!」
「あ……ありがとう、カホ……」
「ええ……やっぱりカホの治療は世界一ね……」
◇
……ってお父さん、お母さんも褒めてくれたなー!
久しぶりだけど頑張るぞ!
「モーブくん!
今治すからね!」
私はカバンから清潔な生理食塩水を取り出し、モーブくんの傷にジャバジャバかけた。
「いだだだだだだ!」
「我慢して!」
そして清潔なタオルで水気を取り、消毒液をモーブくんの傷に塗りたくった。
「ぎや゙や゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!
じみ゙る゙ーーーーー!!」
すると、慌てた様子のヘンリーくんが――
「カ、カホさん!
魔法で治さないんですか?
ヒールなどの――」
「そんな医学的根拠のないものでケガが治るわけないでしょ!
表面上治ったと思っても、傷口に細菌が残ってて体の奥まで侵入したらどうするの!?
ダンジョン内は未知の病原菌がいないとも限らないんだよ!?」
冒険者だったお父さん、お母さんも言ってたから間違いないよ!
【説明しよう!
カホの両親は――
魔法を使わないカホを褒めていたのである!
どうにか魔法を使わない方向へ持っていこうと!
必死だったのである!】
「た……たしかに回復魔法がどうやって傷を治すのかは完全に解明されていませんし、それは懸念すべき問題ですね……」
「魔法に頼りすぎて、大事なことを見失っていたのかもしれません」
メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。
「ぎや゙や゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!」
「暴れないで!
せっかく消毒したのに汚れちゃう!」
【その後、モーブは暴れすぎて計5回消毒され、清潔なガーゼと清潔な包帯による処置を受けた。
その結果、3日目にはほぼ完治した。
そしてカラオケに行ったナナーシーちゃんには彼氏ができたという。】




