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第46話 異世界のレストラン

 あたしは『ミミ』。 13歳。

 今日から『レストランこむぎ』で給仕の仕事をすることになった獣人。

 詳しくは第38話を読んでほしいな。


 自己紹介はこのくらいにして仕事に戻ると、厨房からすごくいい香りが漂ってきた。


「わあ……!

おいしそうな匂いですね!」


 あたしが声をかけると、店主のカホ様は得意げにお返事してくださった。


「でしょー?

私の得意料理なんだ!」


【説明しよう!

 今日からカホは!

 レストランを経営することにしたのである!

 現在は開店前の仕込み中である!

 カホについては――

 第1話を読むのである!】


 その『得意料理』を見て、あたしはすごく不思議そうな顔をしていたと思う。

 なぜかというと、カホ様の作られる料理は――


 異世界の料理だから。


 カホ様は、『チキュウ』の『ニッポン』という国の料理をよく作ってくださる。

 それらは見たことも、聞いたこともない料理ばかりなんだけど……。

 見た目も、

 香りも、

 もちろん味もとても良くて、

 あたしがカホ様に

 『お店をやってみてはいかがでしょうか?』

 と進言したことがきっかけで、レストランをすることになった。


「これは……なんていう料理なんですか?」


「これはね――」

「タコさんウインナーだよ!」 


 カホ様は袋から短い棒状のものを出し、お湯の沸いた鍋でサッと茹でる。

 すると棒状のものは次々と、まるで頭足類のような形に変化していった。


「すごい……魔法みたい!」


「これ切れ目入りだから加熱するだけで簡単なんだよね!」


「コレキ……レ・メイリ……?」


 魔法の呪文だろうか?

 魔法に疎いあたしにはよくわからない。


「サイドメニューはできたし、『本日のおすすめ』を用意しようかな!」


 そう言ってカホ様は時空をこじ開け、その穴に入っていった。

 しばらくして再び時空の穴が開くと、両手に“なにか”がたくさん入った袋を持ちながら帰ってきた。


「おまたせー!」


 そう言って袋から取り出した“なにか”を冷凍庫へ詰め込んでいく。

 異世界の文字が書かれた袋みたいだけど……。

 料理……なのかな?


「カホ様、それは……なんなのでしょうか?」


「これはね――」

「ニ◯レイの本格◯め炒飯だよ!」


 あ……!

 『本格◯め炒飯』か!

 あたしはたぶん無意識に尻尾をぶんぶんと振っていただろう。

 カホ様は頻繁にこの『本格◯め炒飯』を作ってくださる……あたしが大好物だというのを知っているから。


「これは絶対に流行りますよ!」


「でしょー!

それに冷凍で長持ちだし、電子レンジでチンするだけですぐできるから便利なんだよね!」


 『でんしれんぢ』というのはカホ様が『チキュウ』から持ってきた魔法の箱。

 『まいくろうえーぶ』という魔法がかかっているので、食べ物を一瞬で熱くできるらしい。

 あたしは魔法の知識がなくて、怖くてまだこの箱を触ったことがないけど……いつかカホ様に本格◯め炒飯を作ってさしあげたいな。

 

「ふっふっふっ……驚くのはまだ早いよミミちゃん!」


 カホ様がどこか自信ありげに不敵な笑みを浮かべている。

 ……正直、この状態のカホ様はちょっと不安だ。

 またやっちゃわなければいいんだけど……。


「じゃーん!

黒毛和牛のステーキ!」


 カホ様は冷蔵庫からお肉を取り出した。

 『ステーキ』はお肉を焼いたもの。

 『クロウゲワギュ』は名のある魔物の名前だろうか……すごく強そう。

 

 そんなことより!

 美味しそう……!

 適度に脂が乗り、綺麗な色。

 あたしはあまりの美しさに言葉が出ず、ツバを飲み込んだ。


「開店祝いに無料で出そうかと思って!

昨日の夜に日本のスーパーで安売りしてたから、たくさん買っちゃった!」


「さすがです、カホ様!

お客様のためにこんなすごいお肉を無料で配るなんて……初日から大繁盛間違いなしですね!」


 『ふふん!』と誇らしげなカホ様は、お肉を開封して塩、胡椒をまぶしていく。

 

 ……ん?


「カホ様……なにか、酸っぱい臭いがしませんか?」


「え?

……あっ!

まさか!」


 するとカホ様はお肉の入っていたトレーを見て――


「この肉、消費期限昨日までだ!」

「もしかして私、またやっちゃったー!?」


【ミミの嗅覚により、飲食店としての信用は落ちずに済んだ。

 多少の期限切れだけで単純に危険と判断できるものではないが、『消費期限』は食品の安全性を考慮して定められた期限であるため、極力食べないことを推奨する。

 フードロスは食品を無駄にするほか、購入に使ったお金なども勿体ないので、できれば抑えていこうと伝えたいのであった。】

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