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第43話 闇堕ち

「……」

 私、コムギーノ・カホ。 14歳。

 どうせド田舎出身の、ただのパン屋の娘。

 知らないなら第1話から全話見てきて。


【説明しよう!

 今回のカホは――

 闇堕ちしたのである!

 一体何があったというのか!

 経緯を共に振り返っていこう!

 なのである!】


 ◇


 〜約2時間前〜


 今日はクラスメイトのユウフくん家のパーティーに来てるよ!

 学校のみんなを招待してるみたい!

 パーティー会場には、

 豪華な料理がずらりと並び

 豪華な美術品も並び

 豪華なシャンデリアも並び

 とにかく豪華だ!


「よっ、カホちゃん」


「あっ、モーブくんにヘンリーくん!」


 フォーマルな服装でキメキメだ!


「2人とも、かっこいいね!」


「ありがとうございます。

カホさんも綺麗な編み込みのハーフアップスタイルで、さりげない耳元のイヤリングがカホさんのCuteさを引き立てていますね」


 メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。


「ヘンリーくん、さすがわかってるー!」


 上機嫌になった私にモーブくんが口を開いた。


「でもカホちゃん、制服ってちょっと……ダサくない?

ま、カホちゃんはド田舎出身だし?

パーティなんて無かっただろうからわからないか!」


 ……。

 ……ん?


「いえ、服装は自由でしたからね。

特に女子は、上級生が派手に着飾った下級生に目をつけてトラブルになったこともありましたし」


「でもなぁ」


 ヘンリーくんの言葉にも納得してないようで、モーブくんはニタニタしながら私を見てくる。


「……でもほら、見た感じ制服の子も――」


『今日はボクの生誕を祝うパーティーに来てくれてありがとう!

時間の許す限り、楽しんでいってくれたまへ!』


 マイクが入り、ド◯キで売ってそうな衣装を着たユウフくんのスピーチが始まった!

 ユウフくんは裕福とは思えないくらい庶民的で、けっこう人気者なんだよね!

 どのくらい庶民的かっていうと、『ハイパーBIGカツ』が大好物なんだって!


『ではまず、ボクのヴァイオリンの演奏を聴きたまへ!』


 そうして演奏が始まってからしばらくすると――


「なあ、カホちゃん……」


 モーブくんが話しかけてきた。


「自信満々だったわりに下手すぎない?」


 えっ!?

 ユウフくんの視線がこっちに向いた。


「これなら俺がタンバリン叩いてたほうがよっぽど盛り上がるよ」


 みんなからの視線も集まってる!?

 違う違う!

 私は言ってないよ!


 ……モーブくんチクショウ!


 ぶんぶんと首と手を横に振り、必死にアピールしながら気まずい時間は過ぎていった。


 ――――


 〜パーティー終盤〜


『さあ、ビンゴ大会の時間だ!

ぜひ、豪華景品を掴み取ってくれたまへ!』


「「「うおおおぉぉぉ!!」」」


 あっ! 噂のビンゴ大会が始まった!

 裕福なだけあって景品も、最新ゲームハードや生ゴミ処理機まで様々だ!


 私が狙ってるのは……高性能業務用発酵器!

 これをお父さんお母さんにプレゼントして、実家のパン屋を発展させるんだ!

 ビンゴカードが配られ、ユウフくんから最初の数字が発表される――


『まずは……14番!』


 14……14……あった!

 幸先がいいね!


『次は……37番!』


 あった!


『25番!』


 あったー!

 すごーい!


 そのとき、スマホに着信が……お父さん!?

 こんなときに……でも緊急の用事かも?

 どうしようかと悩んでいると、すぐそこにモーブくんがいた!


「モーブくん!

ちょっと私のビンゴカード見てて!」


「え?……おう!」


 私は電話しに、いったん外に出た。


 〜10分後〜


 もー!

 『家にあるカホのシャンプー使っていい?』

 なんてメッセージで送ってよー!


「モーブくんごめーん!

おまたせー!」

 

「お……おう!」


 私がカードを受け取ると――


『6番!』


「ビンゴー!」


 モーブくんがビンゴを宣言する!

 いいなー!

 私のカードはどうかな?


 ……。


 ん?

 なにかおかしい……。

 このカードには開けたはずの14番と25番が無い……?

 ステージ上でウキウキと景品を選ぶモーブくんが視界に入る。

 まさか……!

 ビンゴしそうだったからすり替えた!?

 ……。


 モーブ、おいコラ。


 私は絶望した。


 ◇


【そして冒頭に戻るのである!】

 

 絶対に許さない。


 モーブのヤロウが戻ってきたら、この「特製混ぜ混ぜジュース」を飲ませて激マズ地獄に落としてやる。

 モーブのヤロウは最新ゲームハードを持って戻ってきた。


「い、いやー、今日は運が良いなー、はははー……」


 チクショウ。


「モーブ……くん!

おめでとう!

これお祝いだよ!」


 私はジュースを差し出す。


「え、う、うん……ありがとう!」


 モーブのヤロウは何の疑いもなくジュースを飲みだした。

 さあ……マズさに悶えろ!


 ゴクッゴクッ……!

「うまっ!

なにこれめっちゃうまいんだけど!」


 えっ!?

 まさか……つい、おいしい組み合わせで作っちゃった!?


 もしかして私、またやっちゃったー!?


【そのあと普通にカホもビンゴ。

 無事、高性能業務用発酵器を手に入れ、闇堕ち期間は終了した。

 そしてパーティー中に山ほどハイパーBIGカツを食べ、食い倒れしたユウフくんは、ハイパーBIGカツの製造会社を買収することに決めたという。】

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