第42話 ダンジョン配信
オレはインフルエンサーの『イケ』。
そして4人組MyTuberグループ『イケテルマンズ』だ。
超人気の登録者1800万人に届きそう……だったグループ。
しかしある事件によって、今では登録者が60万人まで急降下した。
聞いた話だと第1話から第6話にかけて登録者数の推移が見れるらしいぞ。
ちなみにみんなチコク魔法学校出身だ。
【説明しよう!
チコク魔法学校とは――
天才魔法使い!
ダンジョン配信で人気爆発中の冒険者パーティ『命知らズ』!
落ちぶれたインフルエンサー『イケテルマンズ』!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】
大人気だったのも過去の話。
今では落ちぶれたインフルエンサーとして有名になってしまった。
「なあ『イケ』……もう就職したほうがよくないか?」
仲間の『テル』が現実的な提案をしてくる。
しかし……。
「あんなことがあったってのに、どこにオレたちを雇ってくれる場所があるんだよ……」
そう、『ズン』の言うとおり。
オレたちがやってしまったことは本当にヤバかった……とても正常な人間のやることじゃない。
【説明しよう!
『イケテルマンズ』のやったことは!
口に出すのも文章にするのもためらわれるので――
ここでは言えないのである!】
たしかに責任はオレたちにあるが、ここで顔出しのリスクが重くのしかかってくるわけだ。
「ならどうする!
このままだと……リボ払いが払いきれない!」
稼いでたときに一括で払えよ……と思っていたそのとき、『たかし』がぼそっとつぶやいた。
「……ダンジョン配信ってのはどうだ?」
「「「……!」」」
ダンジョン配信といえば最近伸びつつあるジャンル。
MyTuberの『命知らズ』という冒険者パーティがダンジョン配信たった1ヶ月で登録者600万人を獲得しているらしい。
「たしかに……アリかもしれないな」
ダンジョン配信系はまだ人が少ないから、視聴者さえ増えれば冒険者関係のスポンサーや案件の仕事が来やすいかもしれない。
「でも俺たち全員、冒険者としてはほぼ最低のEランクなんだぜ?」
「何言ってるんだ、オレたちはザコ……そして嫌われものだ!
だからこそ魔物に怯えて逃げ回る姿がウケる……はず!」
そうしてダンジョン配信系として再起を図ることにした。
◇
「「「ぎゃーーーーーーー!!」」」
オレたちは今、初心者ダンジョンで――
10メートルはあろう化け物たちに追いかけられている!
「なんなんだこの凶悪な魔物はーーー!」
「初心者ダンジョンじゃなかったのかよーーー!」
必死で逃げ込んだ先は……行き止まり!
「イケテルマンズ……!」
「「「ひいーーー!!」」」
やっぱり……ダンジョン配信なんて軽い気持ちでやるもんじゃなか――
「ファンです!
サインください!」
「「「え?」」」
化け物は色紙とサインペンを差し出してきた。
「イケテルマンズさんたちがやったことは本当にヤバくて、とても正常な人間のやることじゃないところが最高でした!」
【説明しよう!
大事なことなのでもう1度言うが!
『イケテルマンズ』のやったことは!
口に出すのも文章にするのもためらわれるので――
ここでは言えないのである!】
「あ……ありがとう……ございます……」
おそるおそるサインをしていたそのとき、化け物の後ろから女の子の声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
「あ!
カホ様!」
「イケテルマンズさんですよ!」
【説明しよう!
読んでいる人はすぐにわかったかもしれないが!
この化け物たちの正体は――
カホのご近所さんたちである!】
「えー!?
すごーい、本物だー!
サインくださーい!」
【イケテルマンズと化け物のやりとりを一部始終映していたこの配信は、驚異の同接1億人を記録した。
そのおかげか登録者2000万人を突破し、かつての人気を取り戻したという。
イケテルマンズと共演したカホは、ちょっとした人気者になった。
そして学校にサインを求める人が殺到し、チコク魔法学校は崩壊した。】
「もしかして私、またやっちゃったー!?」




