第34話 ハズレスキル
「からあげチャンおいしー!」
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!
詳しくは第1話を見てね!
でも第3話を見たほうがわかるって意見もあるよ!
【説明しよう!
チコク魔法学校とは――
天才魔法使い!
1人で721匹のワンちゃんを健康に育て上げる魔法ブリーダー!
魔法で作った筋肉を駆使して得意技『卍カル固め』でWWMの王座を3度防衛中の魔法レスラー!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】
今はお昼休みだよ!
みんなでお弁当を食べながら楽しくおしゃべりしてるんだ!
「今日もママの卵焼きの味付けが最高だぜ!」
「私が作った金平ごぼうも負けてないわよ」
モーブくんとナナーシーちゃんがいつものようにお弁当自慢を始める。
このあと、みんな自分のおかずを自慢したり交換しながらワイワイするのがいつもの流れだ。
「おいしかったー!」
お弁当を食べ終えたあと、ヘンリーくんはカバンから固形バーを取り出し食べ始める。
「ヘンリーいつもそれ食べてるけど、なんなんだ?」
「これは父が作った、
肉
小魚
納豆
海藻
レバー
を中心に乾燥させて作ったオリジナル栄養バーです。
味に改良を重ねて最低限の美味しさも確保しつつ、携行性にも栄養価にも優れているんです」
「そういえば前にダンジョンで食事中に魔物が出たけど、栄養バーを食べてたヘンリーが素早く動いてくれたよな!」
「いえいえ、モーブくんが《バインド》で足止めしてくれたおかげですから」
メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。
「いやいや、ヘンリーのスキル《詠唱短縮》がなかったら俺のバインドなんてすぐ破られてたよ!」
モーブくんは微笑んだ。
「ちょっと!
私の《魔力付与》のスキルも活躍したわよ!」
少し自慢げに、ナナーシーちゃんは微笑んだ。
「ええ、短縮すると魔力不足で威力が落ちるので、ナナーシーさんのスキルには助けられました」
みんなすごいスキル持ってるんだなー!
「いやー、俺たちにこんなスキルを授けてくださったシヴァ様には感謝だな!」
【説明しよう!
第3話でスキル付与回をやっているので――
ぜひ読んでほしいのである!】
「あっ、私も神様に《塩加減》のスキルもらったよ!」
私がそう言うと、少しの沈黙のあと――
「……ギャハハハ!
《塩加減》ってなんだよ!」
「なんの役に立つの?
冒険者のスキルとは思えないわね」
えー!
モーブくんもナナーシーちゃんもひどーい!
「……シヴァ様はカホさんの『パン作りの才能』を伸ばそうとお考えになられたのでしょうか?」
ヘンリーくんまで!?
「カホちゃんには悪いけど、そんなスキル……持ってるだけ無駄なんじゃないかな?」
むかー!
「いいもん!」
私はムキになって《塩加減》のスキルをOFFにした。
◇
次の日のお昼休み――
「今日もママの卵焼きの味付けが……あれ?
……味がしない」
「ふふん!
やっぱり私が作った金平ごぼう……なにこれ、しょっぱーい!」
ヘンリーくんはオリジナル栄養バーを食べたあと、トイレに駆け込んだ。
数分後、げっそりしたヘンリーくんがつぶやく。
「あの味……思い出しました。
ある日、急激に父の栄養バーが美味しくなった……あれはたしか、第3話のあと……!」
【説明しよう!
カホが《塩加減》のスキルを授かった瞬間!
元々持っていた《∞》のスキルとシナジーが発生し――
世界中の塩加減が絶妙になって食べ物はおいしくなったのである!】
せっかくおいしいご飯の時間なのに、今日はみんな笑顔が少ないなー?
◇
そして放課後。
私はコンビニでからあげチャンを買って帰路につく。
なんだか今日は全校生徒も先生もすっごくテンション低かったな。
どうしたんだろ?
心なしか、コンビニ店員さんもすれ違う通行人も元気が無いように見える。
んー?
私はからあげチャンを口に運び――
「味うすーい!」
あっ!
もしかして私……!
やっぱり《塩加減》がOFFのままだ!
またやっちゃった!
【カホは《塩加減》のスキルをONにしたあと、からあげチャンを美味しく食べ始めた。
それと同時に世界の食は美味しさを取り戻したが、人々はまた塩の重要性を忘れていったという。】




