第32話 ギルドの受付嬢
「乳製品好き!」
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!
詳しくは第1話を見てね!
でも第3話を見たほうがわかるって意見もあるよ!
【説明しよう!
チコク魔法学校とは――
天才魔法使い!
1人で649匹のワンちゃんを健康に育て上げる魔法ブリーダー!
魔法で作った筋肉を駆使して得意技『卍カル固め』でWWM王者に輝いた魔法レスラー!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】
3時間前――
コンビニで牛乳と飲むヨーグルトとさけるチーズ買おっと!
あれ?
あそこのアパートの前で人が倒れてる!?
「大丈夫!?
って……あなたは!」
主人公専属の受付嬢になりそうな見た目。
主人公にコロッと流されそうな見た目。
『受付嬢モノ』なら主人公になりそうな見た目。
間違いない!
「ギルド受付嬢の『タントーさん』!」
「ゴホッゴホッ……あなたは冒険者……?
本日はどうなさいま……ゴホッゴホッ!」
大変だ!
スキル《鑑定》で確認すると、熱が38.8℃もある!
「ちゃんと家で寝てなきゃ!」
「だめよ……今日もどこかの主人公が私を待っているかも……。
それに……家賃も2カ月滞納してるから……」
切実だ!
でも、こんな状態で仕事をすれば家賃はおろか、完治まで時間がかかったり、そのせいで薬代も嵩むかも。
倒れたりしたら最悪、入院費用までかかるかもしれない。
それなら……!
「大丈夫!
私にまかせて!」
◇
そうして私は今、タントーさんの代理で受付嬢の仕事をしているよ!
ギルドの職員さんに話すと、快く受け入れてくれたんだ!
とりあえず、クエストの受付や案内の仕事を任されたよ!
【説明しよう!
クエストの受付は――
ギルド受付嬢として初歩的な仕事である!
しかし!
冒険者の実力やクエストの危険度などを見極める必要があるため!
かなり重要な仕事といえるのである!】
教育係として『サブジョーさん』も隣にいてくれるし安心だね!
あっ、さっそくお客さんが来たよ!
「えっと、本日はどうなさいまゴホッ?」
しまった!
3時間前のタントーさんのべしゃりがうつっちゃった!
「失礼しました……本日はどうなさいましたか?」
さっそくサブジョーさんがカバーしてくれた!
ナイス!
「このクエスト受けたいんだけど」
ミノタウロスの討伐クエストで、難易度Bランクの依頼だ!
よしっ!
今度は間違えないぞ!
「では!
ギルド証を見せてください!」
スッと出されたのは『Cランク冒険者』のギルド証。
冒険者ランクより1つ上のクエストは受付可能だけど、十分に注意事項を伝える必要がある!
「ミノタウロスの戦闘力はCランク相当ではありますが、その体格と攻撃力の高さから危険度を考慮し、Bランククエストとなっております!
実際に目の当たりにすると、その威圧感や予測不能の行動で実力を発揮できない冒険者もいます!
ギルドで助っ人の冒険者を手配できますし、可能なら冒険者保険の加入もおすすめしますよ!」
サブジョーさんからサムズアップ!
マニュアル全部暗記しといてよかったー!
冒険者さんは少し悩んだあと、
「たしかに……保険は加入してるけど、万が一のためにヒーラーの手配頼めるかな?」
「わかりました!
では紹介料300円のお支払いをお願いします!
クエスト成功時は、報酬の3割が紹介した助っ人冒険者に支払われるのでご了承ください!」
冒険者さんは『ありがとう』と言って去っていった。
なんだかお仕事っていいね!
冒険者側のことしか知らなかったけど、タントーさんたちもこうやって、お金もらって生活してるんだなー!
……あれ?
もしかして、受付嬢してたらどんな依頼が来てるかわかるし、冒険者としても効率いいんじゃ?
そう思いついて、パラパラと依頼書を確認してみる。
[ドラゴンの牙 4本 達成報酬10万円]
やっぱり!
私はアイテムボックスから、ドラゴンの牙をドサッと取り出した。
さらに依頼書をめくる……っ!
[フェンリルのヒゲ 5本 達成報酬200万円]
これも家にたくさん落ちてたんだよね!(第27話参照)
さらにめくる!
[ゴールデンピーチ 1個 達成報酬9999兆円]
あ!
これ今日のおやつに持ってきてる!(第11話参照)
【その後、すべてのアイテム依頼を終わらせた影響で、世界中のギルドで報酬の支払いは数ヶ月ストップした。「もしかして私、またやっちゃったー!?」
そしてカホは、職業体験をさせてくれたタントーさんにお礼として、クエスト達成報酬の半分を渡し、現在タントーさんはセレブ生活を満喫しているという。】




