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第3話 スキル付与

「本編は数行後だよ!」

 私、コムギーノ・カホ! 14歳!

 ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!

 詳しくは第1話を見てね!


【説明しよう!

 ここ、チコク魔法学校は――


 天才魔法使い!


 握手8時間待ちアイドル魔法少女!


 登録者1700万人の魔法系インフルエンサー!


 など!


 数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である。】


 今日は――

 スキル付与の儀!

 2年生になると神様から貴重な《スキル》を授かれるんだって!

 こんなの全人類の憧れだよね!

 わくわくしちゃう!


「俺、剣術Aだったー!」


「雑巾がけのスキル……」


「やったー! 夢だったテイマーだ!」


 みんな盛り上がってるなー!


「「「おー!」」」


 その中でひときわ目立つ生徒がいた。


「すげー! ヘンリー、賢者だってよ!」


「いえいえ、使いこなせなければただの看板ですから……」


 メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。


 賢者ってたしか、すっごく珍しい最強クラスのスキルだよね!

 すごーい!

 よーし、きっと私も……

 ここで良いスキルが貰えたら、お父さんとお母さんも喜ぶかも!


【説明しよう!

 カホは両親からそれは大事に!

 まるで爆弾でも扱うかのように丁寧に育てられ!

 料理!

 雑用!

 等!

 何一つさせてもらえなかったのである!

 その理由は――

 圧倒的なパワ

「次、コムギーノ・カホさん」


「はーい!」


「では、こちらの部屋へどうぞ。シヴァ様がいらっしゃいますので、失礼のないように」


 部屋へ入ると――

 あっ! あの人が神様!?

 白い服のキラキラしたおじさんが立っていた。


 ◇


 私はシヴァ。

 神だ。

 今日は年に1度のスキル付与の日。

 こうして人間へスキルを授けることで、信仰を集め、神としての力を得ている。

 まあ、人間界のスイーツが美味いから来ているという理由もあるが。

 早く終わらせて食べに行こう。

 その時だった。

 背筋が凍る。

 (……はっ!?)

 なんだ……この気配は。

 本能が警告している。

 逃げろ、と。

 神である私が?

 ……そんな馬鹿なことが――


「こんにちはー!」


 元気な声とともに、1人の女生徒が部屋へ入ってきた。


 ……なぜか冷や汗が止まらない。

 『蛇に睨まれた蛙』

 そんな言葉を思い出していた。


「……」 


「神様?」


「……あ、ああ」


「私はどんなスキルが貰えるんですか?」


 そうだ、落ち着け。

 相手はただの人間の子どもだ。

 私は神界でも戦闘能力は最上位クラス。

 総ステータス8735兆3222億!

 まさに神!

 人間は強くても、せいぜい総ステータス1億程度。

 さあ、一度深呼吸だ!

 スゥー……ハァ~……


「では……汝、目を閉じて胸に手を当てるのだ」


 いつものようにそれっぽい指示をする。

 もちろん意味はない。

 雰囲気だ。

 ほんのちょーっと……ビビらされた腹いせに、適当な……うーん、《塩加減》のスキルでも付けて笑ってやろう。

 少女のスキル画面を開く。


 『ピロンッ!』

 《スキル 『塩加減』 いい塩梅にできる》


 よしっ! 付与成功!

 しかし、《塩加減》の横にあるスキルに気がついた。


 《スキル 『∞(インフィニティ)』 全てが∞》


「……え?」


 嫌な予感がしてステータスを覗く。


HP ∞

MP ∞

攻撃力 ∞

防御力 ∞

魔力 ∞

敏捷 ∞

運 ∞


「…………」


 私はそっと、神界と人間界を繋ぐゲートを閉じた。

 よし……寝よう。


「神様?」


「え?」


 目の前には、さっきの少女が立っていた。


「どうやって入ってきたんですか?」


「鍵、開いてたので!」


 え?

 ゲートのこと?


「急にいなくなったから、体調悪いのかなーって思いました!」


「えっ、あっ! そ、そうなんですよ!

えーっと……今日はちょっとお腹が痛くて……!

また今度にしましょう!」


 お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします!


「えっ!?

それは大変、お大事にしてください!

じゃあ、さよならー!」


 少女は笑顔で帰っていった。

 ……助かった。

 私はその場に崩れ落ちた。


 ◇


 次の日。

 スキル付与の部屋には、1枚の書き置きだけが残されていた。


〚探さないでください……シヴァ〛


「シヴァ様がいない!」


「大変だ!」


「あの部屋に最後に入ったのは……?」


「コムギーノ・カホさんです!」


「えっ、私!?」


「まさか、シヴァ様に何か失礼を……?」


「えー!?」

「もしかして私、またやっちゃったー!?」


【カホに会ったその日のうちにシヴァは荷物をまとめ、この世界を(無断で)他の神に託して、姿を消したという。】

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