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第29話 魔物の卵

今日(R8/9/28)寝坊してリアル「いっけなーい!遅刻遅刻ー!」したよ!

 私、コムギーノ・カホ! 14歳!

 ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!

 詳しくは第1話を見てね!

 でも第3話を見たほうがわかるって意見もあるよ!


【説明しよう!

 チコク魔法学校とは――


 天才魔法使い!


 1人で251匹のワンちゃんを健康に育て上げる魔法ブリーダー!


 魔法で作った筋肉を駆使して得意技『卍カル固め』で3連勝中の魔法レスラー!


 など!


 数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】


 今日はチコク町を散歩してるよ!

 転校してから忙しくしてたし、ゆっくり見回るの初めてかも?

 まだ行ったことのない方向へしばらく突き進んでいると――

 うっ!

 なに……?

 この感覚は……魔力!?

 私の身体はなにかに引き寄せられるように、ある場所に向かっていた。

 その場所は――


 道の駅!


【説明しよう!

 道の駅とは――

 その地域の特産品や土産品!

 地元の野菜や魚介!

 など!

 数々の魅力的な商品が売られている『町の遊園地』である!】


 道の駅といえば、実家にいたときはよくお母さんが旅行先で爆買いして家計を圧迫してたなー!

 チコク町はどんなものがあるんだろー?

 私はわくわくしながら入り口へ歩く。

 この高揚感……!

 やっぱり私はお母さんの子だね!


「あっ!

これは!」


 入り口では定番の、『謎顔出しパネル』がお出迎えだ!

 あるよねー!

 今度、友達連れてきて撮ってもらおっと!

 そして、入り口のドアに手をかけ――


 『ギィー』


「おー!」


 まず目の前に広がるのは、定番のお土産菓子コーナー!

 隣には、ちょっと変わった地域特有の加工食品コーナー!

 少し離れたところには地元野菜コーナー!

 しかも本格的なパン屋さんやお弁当屋さん、ジェラートのお店まで併設されてる!

 さすが都会だー!

 お母さんが来たら買い物かご3つで三刀流だね!

 私が順調に2つ目の買い物かごへ商品を入れてると、それは私の目の前に現れた。


〈チコッケイのおいしい卵(有精卵)6個入り、1000円〉


【説明しよう!

 チコッケイとは――

 この世界でも最高級の!

 「ニワトリ」という鳥型家畜魔物の品種である!

 その肉!

 卵!

 ともに!

 非常に美味なのである!】


 おいしそー!

 ……ってあれ?

 『有精卵』……って、たしか温めたら産まれるんだよね?


「うーん……」


 ◇


 キーンコーンカーンコーン!


「おや?

カホさん、卵パックを抱えて……おやつですか?」


「ヘンリーくん!

これはね――

有精卵だから孵化させて、お肉と卵を自給できる生産体制を構築しようと思ってるんだ!」


「それは夢がありますね。

ただ……雛を孵化させるためには38℃程度の温度で温め続ける必要があり、人の体温だと限界がありますね。

Amazonesなどで売られている孵化器を購入するといいですよ」


 そうなんだー!

 ヘンリーくん物知りー!


「ありがとー!」


「いえいえ、親子丼を作るときはぜひ呼んでくださいね」


 メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。


 でも孵化器かー、今すぐ用意できないし困ったなー。

 ……こんなときこそ魔法だね!


 《ウォーム》!


 私は気温を38℃に設定した。

 ……。

 産まれるまで待ってられないよー!

 でも、こんなときも魔法が便利!


 《Time Walk》!


 私はこのターンの後に追加のターンを得るかのごとく時間を早送りした。


「ピヨピヨピヨピヨ」


「わー!

かわいー!」


 その様子を見たヘンリーくんがハンカチで汗を拭きながら近づいてきた。


「無事にすべて孵化しましたね。

1ヶ月、この暑さが続いたのが結果的に助かりましたね」


 そんな経ってたんだー!


「うん!

あとは育つだけだね!」


「では、それまでに僕は最高の調味料を用意しておきますね」


 メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。


 えー楽しみー!

 それはそうと……名前つけなきゃね!


「えーっと……。

ゲイル!

ブラスト!

カルート!

ブリザード!

ヴァーユ!

ゼピュロス!

これから頑張ろうね!」


 名前をつけられた雛たちは、ブルブルと震え始め――


 『バツーン!』


 高さ10メートルを超える巨体へと変化して、教室は崩壊した。


「あれー!?」

「もしかして私、またやっちゃったー!?」


 【雛たちの元気な鳴き声がうるさすぎるため、カホは教育を始めた。

 その教育にただならぬ気配を感じたのか、翌日には自らチコッケイの肉と卵を狩りに出掛けるハンターに成長。

 そして、ヘンリーくんの用意した調味料によって、おいしい親子丼が完成したという。】

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