第28話 追放された魔法使いは頼まれた『お使い』の最強報酬でざまぁ!する!
「アスル!
今日をもってお前は『追宝の斬魔』から追放する!」
――
はあ……追放されてもう1週間か……。
僕の名前はザマ・アスル。
Cランク冒険者の魔法使いだ。
Bランクパーティ『追宝の斬魔』に所属……してたんだけど、病気で寝込んだのをきっかけに、ついにパーティから追放されてしまった。
【説明しよう!
追宝の斬魔とは――
第16話を見るのである!】
学生時代は成績優秀だったのに、あれから8年。
僕のステータスはどれだけ努力しても、ほとんど成長しなかった……限界値は個人差があるっていうけど……。
『はあ』と、もう一度大きなため息をついた。
……冒険者は諦めて田舎のサンゴ漁でも手伝おう。
よし!
最後にうまいものでも食べに行くか!
そう思って宿を出た。
『おーーい!』
ん?
すぐそこの路地裏から声が……。
なんだ?
ちらっと覗いてみると……そこには1本の剣が落ちていた。
『おーーい!』
え?
剣が喋ってる?
『あっ、来た!』
見つかってしまった。
『今いいとこなんだけど、ちょっと家まで運んでくれませんか?』
いいとこ……?
『あっ、
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!
詳しくは第1話を見てね!
でも第3話を見たほうがわかるって意見もあるよ!
【説明しよう!
チコク魔法学校とは――
天才魔法使い!
1人で151匹のワンちゃんを健康に育て上げる魔法ブリーダー!
創業以来500年継ぎ足しタレをすべて床にぶち撒け、歴史を終わらせてしまった鰻専門店のオヤジ!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】』
剣が自己紹介してきたんだが。
余計な情報も頭に入ってきた気がする。
……とにかく、このコムギーノ・カホって剣が家に帰りたいらしい。
それにしても自我がある武器なんて、伝説上の冒険者パーティ『ディスティニーズ』の『ソードガーディアン』みたいだ。
もしかしてこの状況、誰かに見られるとまずいのでは?
ただ……伝説となると冒険者の血が騒いで、正直ワクワクしてしまう。
「……まあ、暇だしいいよ」
『ありがとー!
案内するね!』
そうして剣に言われるまま『家』へ向かった。
◇
「あの……コムギーノさん?
本当にこの先に?」
僕は剣に連れられ『溶岩の迷宮』に来ていた。
ここは最近、Sランク冒険者によって最奥まで踏破されたらしいが、今でもSSSランク魔物たちによる所有権争いが行われているといわれる超危険地帯だ。
『うん!
いつも歩くときはここから来てるよ!』
「へぇ……歩く……ね……」
剣って足あったっけ?
まあ……何か策があるんだろう。
そう思いたい。
おそるおそるダンジョン入り口をくぐり抜けると、遠くで魔物と戦っているパーティが見えた。
あいつらは……追宝の斬魔!
そして、あの魔物は――
『バジリスク』!
Aランク冒険者パーティでやっと相手できる魔物だぞ!
僕の代わりのメンバーはそんなに優秀なのか……?
いや案の定、戦況はかなり悪そうだ。
『あっ!
あそこ行ってみて!』
「わかった!」
元とはいえ、仲間だったやつらだ!
見捨てるわけにはいかない……!
「大丈夫か!」
「……アスル!
ちょうどいいところに」
「えっ?」
僕はパーティリーダー……ヨーナ・システルに『ドン』と蹴られ、魔物の前へ倒れ込んだ。
「わりーな!
クズでも時間稼ぎはできるだろ!」
タイド・オーヘイ……!
「アスル殿……すまぬ!」
ツヨマカレ・サイゾウ……!
「ありがとう、アスル。
そこの助っ人君と一緒に、最後の役目を果たしてくれ」
助っ人君と呼ばれたメガネの少年は、既に足にケガをして逃げられないようだ。
「悪いな助っ人君、僕が追放されなければこんなことには……!」
「いえ、ピンチのときほど、乗り越えたときに得るものは大きいですからね!」
メガネをクイッと上げ、少年は微笑んだ。
バジリスクは水のように優しく、花のように劇しく、僕たちを飲み込もうと大口を開けた。
やるしかない!
震える刃で貫こうと、僕が剣を振りかざすと――
バジリスクは真っ二つになった。
ん?
『ヘンリーくーん!』
「え……カホさん?」
知り合いなの?
『スマホ持ってる?
かっこいい形の剣作ったからさ!
中に入ったまでは良かったんだけど、このままじゃ写真撮れないし、スマホも家に忘れちゃってさ!』
『撮ってー!』
「……」
「わかりました」
【急遽始まった撮影会は20分続き、満足して剣から出てきたカホ。
そして運んでくれたお礼に、ザマ・アスルにその剣を渡した。
剣の鑑定結果(切れ味∞)を見たアスルは、剣士として冒険者を再スタート。
ザマ・アスルの復讐がここから始まる――】
「んー……」
「もしかして私、またやっちゃった?」




